サイコパスには良心がほとんどないと聞くと、「サイコパス=全員が凶悪な犯罪者」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
たしかに、連続殺人犯のような冷酷で凶悪な犯罪者にサイコパスが多い傾向にあります。しかし、ここまで説明してきた特徴からもわかるように、犯罪を犯さず、一般社会に溶け込んで暮らしているサイコパスが少なからずいるのです。
サイコパスではない凶悪犯罪者は、普通の人に比べれば罪悪感に乏しかったり、基準が歪んでいたりするのですが、基本的には心のどこかに良心があります。ただし、その働きが非常に弱く、欲望や衝動にブレーキをかけられないのです。そのため、犯罪を犯したあとに、罪悪感や良心の呵責に耐えられなくなり、反省や後悔をします。また、欲求や衝動を自分では止められないので、誰かに止めてもらいたいと考えている人や、罪の重さに耐えきれなくなり、自殺する人もいるのです。
こうした人たちは、壊れている良心のブレーキを効くようにしてあげればいいので、刑務所に入ることで更生する可能性があります。
ところが、サイコパスには良心がほとんどありません。ブレーキをかけることなく凶悪な犯罪に手を染め、逮捕されても反省しないのです。
有罪判決を受け刑務所に収監されても、更生する可能性は極めて低いといえます。もともと良心のブレーキが存在しないため、あとから取り付けようとしても上手くいかないのです。
【書誌情報】
『あなたの近くの危険な人物 図解 サイコパスの話』
著:名越康文
サイコパスとは、犯罪を平然と犯す、平気でウソをつき人を欺き騙すなど「反社会的な人格」を持つ人を指す。感情に乏しく、「共感性」がない「冷徹」な人間で、人を支配したがり、目的のためには手段を選ばないーーそんな人間があなたのまわりにもきっといる!本書は心理学の面に焦点をあて、社会にまぎれ、職場、学校、サークルなどあらゆるコミュニティに、100人に1人の割合で存在すると言われるサイコパスを、よりわかりやすく図解する1冊。
公開日:2021.09.08