「大丈夫だよ」と言葉をかけてやろう
雨に濡れたわけでもないのに飼い犬が体をブルブルと震わすことがあります。「どこかかゆいところでもあるのかな」と思ってしまいますが、このしぐさにも重要な気持ちが隠されています。
たとえば散歩の途中で、痛い思いをしたことのある獣医さんの方向へリードを引っ張ろうとすると、飼い犬がこのしぐさをすることがあります。このときのブルブルは「いやだ、そっちへは行きたくない!」という意思表示です。
もっとストレートに気持ちを表して、頑として動かなくなる犬もいますが、そのような強い意思表示をすると飼い主に怒られるとわかっていますし、自分自身で受けるストレスも強くなります。そこで、このような奇妙なしぐさで飼い主に〝やんわり〟と「ノー」と伝えようとしているわけです。
やなところへ連れて行かれると思って緊張していますから、こんなときには「大丈夫だよ」「心配ないよ」と、安心させる言葉をかけてあげましょう。そうすると緊張がほぐれるはずです。
また、私たちはかわいがっていると思っていても、犬からしてみると不快な扱いというのがあります。たとえば鼻が濡れているからといってタオルやティッシュで拭くこと。犬の鼻が湿っているのはにおいの分子を吸着させるためで、乾いていたら鼻の性能が大幅に落ちるといわれています。当然、犬は「おいおい、やめてくれよ」と伝えてきますが、このときにもブルブルと体を震わすはずです。
犬がいやがることをしてしまったのですから、こんなときにはフォローが必要です。低い姿勢になって優しくなでながら「よし、よし。よくがんばったね」「偉かったよ」と、ほめてやりましょう。これで満足させることができます。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
ペットとして広く愛される愛犬は、今や家族ともいえる存在。本書は、日常の表情やしぐさ、行動のクセなどから知ることのできる「本当の犬の気持ち」をイラストと文章で解説。カリスマ訓練士の実践的なアドバイスが得られ、イヌの関する役立つ豆知識が満載。これであなたも犬と本当の付き合いができるようになる!
公開日:2021.12.09