トラウマが原因のこともある
散歩の時間はどの家でもだいたい同じようで、あちこちで犬の散歩と出会います。犬好き同士ですから、初対面で会話が弾むこともしばしば。こうした出会いを楽しみにして散歩をしている人も少なくないようです。
しかし、なかには誰にも出会わないことを願っている飼い主もいます。その理由を聞いてみると「他の犬と出会うと吠え出すから」と答える人が多いのです。犬が他の犬に対して吠えるのにはいくつか理由が考えられますが、もっともポピュラーなのは緊張しているためです。
犬はもともと群れで行動していた動物です。しかし、飼い犬のなかには生まれてすぐ親や仲間と引き離され、一匹で育ったという犬も少なくありません。そうした犬は社会勉強をする機会がなかったので、他の犬と出会ったときにどう対応をすればいいのかわからず、緊張して、つい吠えてしまうのです。
もうひとつ考えられるのはトラウマです。子犬のころ、他の犬に攻撃されて痛い思いをした経験があると、それがトラウマとなって他の犬に極端な恐怖心を持ち、やたら吠えるクセがつくことがあります。このとき「こら、やめなさい」などと叱ると、不安と恐怖が増して、さらに吠えるようになってしまいます。
そんな犬の場合、他の犬が近づいてくるのが見えたら、飼い主は「おすわり」と命じましょう。おすわりは相手の犬に安心感を与えるため、向こうから吠えたり攻撃してくることはまずありません。
そして、吠えずに犬をやり過ごすことができたら、しっかりとほめてやります。すると、犬は「おすわりしておとなしくしていればほめてもらえる」と学習します。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.22