コンパスのように東西南北がわかる
『三匹荒野を行く』というディズニーの実写映画があります。知人の家に預けられていた二匹の犬と一匹の猫が力を合わせて300キロも移動し、無事に家にたどりつくという冒険ストーリーです。
距離の長短はありますが、これと同じようなことが起きて感動のニュースとして取り上げられることがあります。なぜ犬は、はるか遠くから自分の家に戻ることができるのでしょうか。
その理由としてあげられているのが、生体磁石嗅覚というふたつの働きです。生体磁石とは、地球の磁場を感知する体の仕組み。実際にどの器官がその役割を果たしているかはいまだにわかっていませんが、これがあることによって、コンパスのように東西南北がわかるといわれています。ミツバチやサケ、渡り鳥などに備わっているのが有名ですが、この生体磁石を犬も持っているらしいのです。
おそらく犬は、ふだん自宅から太陽や月がどの方角に見えるのか確認していて、それを思い出しながら生体磁石を使って自分の家のある方向を探し出しているのではないかといわれます。
家に近づくと、今度は嗅覚を使います。犬の嗅覚は人間の一億倍以上ともいわれていますから、かすかに残されたマーキングのにおいや、風とともに漂ってくる家のにおいを敏感にかぎ取り、進むべき方向を導き出すわけです。
ところが、最近は迷子になる犬が増えているそうです。室内で優雅に暮らすことによって生体磁石の機能や嗅覚が衰えているためではないでしょうか。迷子になったときのことを考えて、安全のために個体識別のマイクロチップを施術しておきましょう。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
ペットとして広く愛される愛犬は、今や家族ともいえる存在。本書は、日常の表情やしぐさ、行動のクセなどから知ることのできる「本当の犬の気持ち」をイラストと文章で解説。カリスマ訓練士の実践的なアドバイスが得られ、イヌの関する役立つ豆知識が満載。これであなたも犬と本当の付き合いができるようになる!
公開日:2021.12.26