神様は南に向いているだけではない
神社に鎮座する神様はどの方角を向いていると思いますか? いちばん多いのは南ですが、そればかりではありません。実は神様によって方角の好き嫌いがあるのです。
まず神様がどこにいるのか確認しておきましょう。神社の境内には色々な施設がありますが、基本は鳥居、拝殿、本殿です。
入口を示す鳥居、柏手を打つ拝殿に神様がいるわけではありません。その背後にある比較的小さな社が、神様が鎮座する本殿です。神様は常にそこにいるとする考え方もありますが、祭事のときだけ降りてくるともいわれています。本殿がどの方角を向いているか見てみましょう。
南を向く本殿は、もっともポピュラーです。この場合、人々は北に向かって参拝することになります。天空を動くことのない北極星は、天に居る神々の座に相応しいといえるでしょう。東を向く本殿には、よく太陽神が祭られます。朝一番の光が参道を抜けて本殿の鏡を照らすことで、太陽神が仮の姿として現れるというもので、古い神社に多いようです。
西を向くのは、住吉大社とその分社が該当します。住吉大社の祭神は、三韓遠征の神話に出てくる神功皇后と海の三神です。そのため、西の方角に位置する朝鮮半島を向いています。
北を向く本殿は、妙見を祭る神社の特徴です。北の守護神である妙見が北極星を仰ぎ見るという配置になっています。もし境内や周辺に7に関する伝説があったり、祠が柄杓形に点在していたら、妙見を祭る神社です。
このように本殿の向きと、祭られている神様の関係に注目するのも楽しいものです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク
【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク
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公開日:2022.01.06