火山噴火はどんなしくみで起きるのか?
素朴な疑問です。どうして火山は噴火するのでしょうか?身近なものでも不思議があります。例えば、プロ野球の優勝祝勝会などで、選手がビールをよく振ってから一気に栓せんを抜くと、泡立ったビールが勢いよく飛び出してくる光景をよく目にします。ビールに限らず、シャンパンやサイダーなどの発泡酒や炭酸飲料はみな同じです。それらは栓を抜く前は発泡していないのに、どうして栓を抜くと発泡するのでしょうか?
この理屈を考えてみます。圧力を高くすると水の中に二酸化炭素が多量に溶け込みますが、圧力を下げてやると溶け込めなくなり、気体となって出てきます。それが発泡現象です。発泡が起こるのは、水への二酸化炭素の溶解度が、圧力が減少するにつれて小さくなるためです。炭酸飲料では、圧力をかけて二酸化炭素を溶け込ませてあります。栓を抜くと圧力が1気圧まで下がる、そこで発泡が始まるという理屈なのです。
実は、火山の噴火もこれと同じです。高圧下にあるマグマ中には水を中心とした火山ガス成分が数重量%以上溶け込んでいます。何らかの原因でマグマ溜りの圧力が低下すると、マグマの発泡が始まります。圧力低下の程度が大きいほど激しく発泡するわけですが、発泡したマグマは大量の気泡を含むのでみかけの密度が低下し、軽くなってさらに発泡しながら上昇するのです。
マグマの粘り気が弱くてサラサラしているときは、気泡はすみやかに抜けていくので穏やかな噴火となります。ところが、マグマの粘り気が強くてネバネバしていると、気泡が成長し、気泡同士が合体したりして、マグマ中に火山ガスが溜ります。十分に溜まった火山ガスはやがて爆発し、激しい噴火が起こります。
マグマの粘り気は、マグマの珪酸成分の量と温度で決まります。ケイ酸成分が多いほど、また温度が低いほど、マグマの粘り気は増大します。つまり、ケイ酸成分が乏しくて温度の高い玄武岩質マグマよりも、ケイ酸成分に富み温度の低い安山岩質やデイサイト質、流紋岩質マグマのほうが粘り気は強く、爆発的な噴火を行う傾向があるということです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地学の話』
【書誌情報】
『図解 地学の話』
著者:高橋正樹 他
地学は「地球を対象とする自然科学」の学問。ジャンルが幅広く興味深い話題も多い。地球の誕生から、火山や地震のメカニズム、異常気象や天気図、地層・化石まで、「地球物地学」「火山学」「気象学」「地質学」の4テーマに分けて解説。図解で楽しくわかりやすく勉強になる1冊。
公開日:2022.02.16