恐妻を恐れながらも女神や人間の女性を次々と我がものに
全知全能の雷神として優れたリーダーシップを発揮しながら、神々と協力して世界を治めていたゼウス。崇拝にふさわしい神でありながら、一方ではどうしようもない女たらしでもありました。
姉であるヘラを妻としながら、多くの女性たちに言い寄り、子を生ませています。しかも、自分になびかない者には嘘(うそ)をついたり、策略を巡らせたり、さらって想いを遂げることさえあったのです。
そもそもヘラに求婚するときもカッコウに姿を変えて油断させたゼウス。牡牛(おうし)に姿を変えて人間界の王の娘に近づいたり、逆に、相手のイオを牝牛(めうし)に変えて妻の目をごまかそうとしたりすることも。
結婚と家庭の守護神であるヘラは、嫉妬(しっと)深く激しい気性であったため、ゼウスは妻にばれないように浮気をする必要がありました。
しかし、夫の気性を知り尽くす賢いヘラはゼウスの嘘を見破ることが多く、ゼウスに気に入られた女性やその子どもたちの多くは、理不尽にも辛(つら)い目にあっています。
世界を混乱させるほどの夫婦げんかやだまし合いを演じながら添い遂げたゼウスとヘラ。けれどギリシャ神話にはヘラ以外が生んだゼウスの子どもたちも、数多く登場します。
*イオ:アルゴスの王女だったが、ゼウスの愛人に。ヘラの怒りを買い、牝牛の姿に変えられて世界を放浪する羽目に遭う。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
早稲田大学卒業。予備校講師(世界史)。現在は各地でのライブ授業に加え、YouTubeの予備校「ただよび」やオンライン予備校「学びエイド」などの映像配信授業でも活躍中。また教育系YouTuberとしての顔も持ち、YouTube「すずゆうチャンネル」ではさまざまな世界史コンテンツを発信している。
恋多き神々の王・ゼウス、神々を従える最強の神・トール、4本腕の荒ぶる神・シヴァ。 個性豊かで魅力たっぷり! 世界の神様のキャラクターを大解説! ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話、メソアメリカ神話。人気抜群の神々と英雄たち32神(人)の性格とエピソードを、イラストと図を交え、わかりやすく紹介します。神々たちの愛憎ドラマのギリシャ神話、世界樹の下、終末に向かって突き進む北欧神話、妖精も登場するケルト神話……。神々と怪物、巨人、英雄たちが繰り広げる壮大な戦いや奇想天外な天地創造の物語など、想像を絶する神話のストーリーと世界観もくわしく解説しました。世界の神々を知ると、映画、小説、テレビドラマ、マンガ、ゲームがもっと楽しくなります!
公開日:2022.09.04