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政治の基本となった2つの改革【始皇帝の話】

Text:渡邉義浩

法家思想をもとに実力主義の体制を整えて支配した

「郡県制」によって巨大な統一国家となった秦ですが、これを正常に運営するためには、国の端から端までを同じレベルでコントロールする必要がありました。そのために設けたのが「信賞必罰」です。

これは、法家の考えのもとに考案されたもので、功績をあげた者には必ず褒美(ほうび)を与え、罪を犯した者には必ず罰を与えるという原則です。中央から地方に向けて「信賞必罰」を出すことで、巨大な国をすみずみまでコントロールしました。

ここで問題になるのが、伝達の仕方です。現代では電話やメールなどがありますが、こういったものは古代中国には存在していません。そこで始皇帝は、伝達に関する改革として、「文字の統一」と「文書主義」を行ないました。

当時は、国や地域ごとに文字や発音が異なっていて、ほとんど外国語といってもいいレベル。そこで、文字を「篆書(てんしょ)」に統一して、さまざまな命令や通達を文字にして残すことを徹底しました。

これにより、言葉を交わし合うことは難しくても、筆談で意思疎通を図ることが可能に。文化や言語は違っても、文字を通じて同じ民族だという意識を持つようになりました。

篆書:戦国時代から秦代のもっとも古い書体で、周末期の金文(青銅器の表面に記された文字)を起源とする。現代では、印章などに用いられている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 始皇帝の話』
著者:渡邉義浩  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1962 年東京生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。文学博士。現在、早稲田大学理事・文学学術院教授。大隈記念早稲田佐賀学園理事長。三国志学会事務局長。専門は古代中国思想史。主な著書・監修本に『眠れなくなるほど面白い 図解 三国志』(日本文芸社)、『始皇帝 中華統一の思想―「キングダム」で解く中国大陸の謎』(集英社新書)、『教養として学んでおきたい三国志』(マイナビ新書)などがある。


紀元前246年、13歳で即位し、史上初めて中国を統一して500年の争乱の歴史に終止符を打った秦の始皇帝。歴史に残るその戦いと数々の偉大な功績、また謎に満ちた生涯、始皇帝を支えた多くの忠臣を、最新研究をもとに図解、イラストを交えてわかりやすく解説する。人気マンガ『キングダム』でも脚光を浴びた「始皇帝」の人物像と中華統一や数々の偉業の謎と軌跡に迫る。

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