子(し)曰(いわ)く、賢(けん)を見(み)ては斉(ひと)しからんことを思(おも)い、不賢(ふけん)を見(み)ては内(うち)に自(みずか)ら省(かえり)みる。
<訳>先生がいわれた。賢くて徳を積んだ人に会うと、自分もそのような人のようにありたいと考えるものだが、愚かで徳のない人の行いを見ると、自分はそのようになってはいけないと、自分のことを反省するものだ。
他人のことはよくわかるものです。
たとえば自分では思いつかないような、素晴らしいと思われる行動をとる人に出会ったりすると、何と素晴らしいのだろう、自分もあのような立派な人になりたいと思うものです。
反対に、見苦しい行動をとる人を見ると、あのような人にはなりたくない、と考えます。他人の行動は批判できても、自分が批判されることはないか反省することは、なかなかできないものです。
かつて、子どもたちは大人の行動を手本にして、してもよいこと、してはいけないことを学んだものでした。しかし現代は、大人は子どもの手本となっているのかどうか、危ぶまれることが多くなっているような気がします。他人の欠点を見つけるように、自分自身の問題点に気づいたら、反省して改める姿勢が大切なのではないでしょうか。
ことわざにも、人のふり見てわがふり直せというものがあります。ただ他人ごとと思って見るのではなく、常に自分を意識して他人を見ることで、自分自身が成長できるのだという思いをもつことが必要です。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 論語』
監修:山口謠司 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現大東文化大 学文学部中国学科准教授。 主な著書に『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)、『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』『ん─日本語最後の謎に挑む─』『名前の暗号』(新潮社)、『てんてん 日本語究極の謎に迫る』(角川書店)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)、『大人の漢字教室』『にほんご歳時記』(PHP 研究所)、『漢字はすごい』(講談社)、『語彙力のヘソ』(徳間書店刊)、『おとなのための 1 分読書』(自由国民社)など著書多数。
2500年の時を超え、「聖書」と並び読み継がれてきた孔子の言葉を著した『論語』。「人生最高の教え」と賞される、この全20章500余の短文から現代により通じる「珠玉の言葉」を厳選して紹介、図解でわかりやすくまとめた1冊!
公開日:2023.02.08
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