幸せホルモンのセロトニンが増加
「貧乏ゆすり」というと、一般的にほめられた癖ではありませんが、近年では健康法として医療現場で注目を集めています。
貧乏ゆすりは、かかとを小刻みに上下させるリズム運動の1つで、医学的にはジグリングと呼びます。この小刻みに上下させるリズムが、神経伝達物質の1つであるセロトニンの分泌を増やす作用があるのです。セロトニンには痛みを抑制する役割や、自律神経のバランスを整える働きがあるため、分泌が促進されることで「心因性腰痛」を改善する効果が期待できます。
また、セロトニンは精神の安定に寄与することから「幸せホルモン」と呼ばれることもあり、心の健康を左右する重要な存在。ジグリングのほか、日光浴や規則正しい生活を送るだけでも増加するといわれています。原因不明の腰痛に悩まされている人は、こうしたジグリングも実践してみてはいかがでしょうか。細かい周期で意図的に筋肉の緊張と弛緩をくり返す運動は誰でも容易に行えます。
周囲にさえ配慮しておけば、行うデメリットは見あたりません。なお、ジグリングには下肢の柔軟性を高めたり、血流を改善する効果もあります。足の冷えやむくみ対策にもなるので、デスクワークをはじめとする座ったままの時間が多い人にもおすすめです。ちなみに、咀嚼でもリズム運動の効果があるので、ガムを噛むのも効果的とされています。
腰痛ケアの組み合わせ例
前後どちらにも痛みがある人は、「前に倒すと痛い腰痛に効くセルフケア」と「後ろに反らすと痛い腰痛に効くセルフケア」を組み合わせましょう。
前に倒すと痛い腰痛に効く!タオルストレッチ、キャット&ドッグ+後ろに反らすと痛い腰痛に効く!腸腰筋ストレッチ、スフィンクスストレッチ
腰痛が和らぎ少しだけレベルアップしたいとき
セルフケアを実践して痛みが改善したら行う。鍛えたい部位のエクササイズを選んだり、たくさん鍛えたい人は複数のエクササイズを選んでもOK。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.31