依存症になる可能性は誰にでもある
「本当はやめたいけれど、なかなかやめられない」ということはありませんか。 例えば、お酒の飲みすぎやパチンコ、インターネット、買い物のしすぎなど。適度に楽しむ範囲を超えてもやめられないとしたら、その物自体や行為に依存している可能性があります。さらにエスカレートして、日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、どうしてもやめられない、自分自身の力だけではどうにもならない状態を「依存症」といいます。現代社会では、様々な心の病を抱える人が増えています。なかでも依存症は、本人のみならず家族や社会全体にとっても深刻な問題。依存症と間くと、薬物やギャンブルに手を出すようなごく一部の人がなるものと思われがちですが、身近なものや日常的な行為なども依存症を引き起こす要因となります。自覚がないだけで、今この瞬間も何らかの依存症になっている可能性があるのです。
WHO(世界保健機関)が作成するICD-11(国際疾病分類第11版)には、スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化し、「ゲーム障害」という病名が新たに加えられるほど世界的な関心が高まっています。さらに、近年は性に関わる問題行動が急増し、大石クリニックの疾患別新規患者数にもあらわれています。依存症は特別な人だけの疾患ではなく、身近なものがきっかけで発症する、誰でもなり得る病気なのです。
依存症の新規患者数は徐々に増えている
依存症の新規患者数は、じわじわと増え続けています。近年特に増加が目立つのは、性に関わる問題行動です。
依存症の新規患者数の推移
左のグラフは依存症の治療を専門に行っている、大石クリニックの新規患者数の推移です。2020年に減少したのは、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えと考えられます。
依存症の疾患別、新規患者数の推移
「性」は、性に関わる問題行動で、「性嗜好障害(せいしこうしょうがい)」や「強迫的性行動症」に分類される疾患。痴漢、のぞき、不特定多数と性行為を繰り返すなど、高リスクな状況でも衝動が抑えられなくなります。
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.01