他の精神疾患が隠れていることも
依存は、大きく3つに分けることができます。1つ目は、アルコールや薬物、たばこのニコチンなどに依存する「物質依存」。ある成分を体内に取り入れることで得られる快楽や刺激のために物質に執着します。2つ目は、ギャンブルやネット、ゲーム、買い物などに依存する「プロセス依存」。行為がもたらす興奮や刺激に夢中になってやめられなくなります。3つ目は「関係依存」。特定の相手とのいびつな関係や、ゆがんだ感情などによって引き起こされる問題行動に執着します。お酒をやめようとしたとき、イライラするのをたばこでごまかす、代わりにギャンブルにのめり込むなど、複数の対象に依存する 「クロスアディクション」もしばしば見られます。また、アルコールとうつ、クレプトマニア (窃盗症)と摂食障害など、他の精神疾患・障害と合併するケースも珍しくありません。
一方、よく耳にする依存症の中には、医学的に見ると依存症ではないものもあります。例えば、マスクを外すと不安な気持ちになる「マスク依存」や、何度も美容整形を繰り返してしまう「整形依存」などです。これらは病名として認められておらず、診断基準もありません。これらは依存症ではないのですが、問題を抱えて苦しんでいる場合は、適応障害や社交不安障害といった別の疾患などが隠れている可能性があります。
依存は大きく3つに分けられる
多種多様な依存対象がありますが、「物質」「プロセス」「(人との) 関係」の3つに分けて捉えると理解しやすくなります。
物質依存
アルコール、たばこ、薬物など
ある物質を摂取することで、快楽や刺激を得て、その物質に執着や依存をしてしまう。
プロセス依存
ネット、ギャンブル、買い物など
ある行為の過程で得られる興奮や刺激を求めて、その行為自体に執着や依存をする。
関係依存
親子夫婦の関係、ストーカーなど
特定の人との人間関係に依存や執着をすることで、人との繋がりを求めようとする。
2つ以上の依存を合併するクロスアディクション
アルコールと薬物、たばことギャンブルなど、2つ以上の物質や行為に依存しているケースも見られ、クロスアディクションと呼ばれています。 同時に発症するとは限らず、時期がずれることもあります。
医学的に認められている依存症とは
依存の対象や種類は時代によって変わりますが、よく耳にする〇〇依存の中には、医学的な観点からは依存症とはいえないものもあります。
【病名がつくもの】
・アルコール依存症
・藥物依存症
・ギャンブル障害
・ゲーム障害
・強迫的性行動症など
〇〇依存は病名ではなく通称であることが多い
医学的な依存症には診断基準があります。それがないと不安になる、何度も繰リ返してしまう、というだけでは依存症とは限りませんが、何か問題が起きている場合は対応が必要です。
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.06