アプローチに関してアマチュアの人たちに言っておきたいのは「道具に関してもっと注意を払うべきだ」ということ。特にいま流行りの「飛び系」のアイアンを使っている人たちは、短い距離を打つクラブのセッティングに気を付けたほうがいいんです。 アイアンセットと違うブランドのギャップウェッジを入れるのはいいんだけれども、距離のフローがしっかりと作れていないと良いゲームにはなりません。ウェッジ本同じメーカーだからいいや、ということにはならないんですよ。 飛び系のアイアンだと9番アイアンのロフトが40度前後ぐらいなんですが、これに対してウェッジを決めていかないととんでもないことになってしまいます。
たとえば9番のフルショットの距離が130ヤードとしましょう。となるとピッチングウェッジが120ヤード、アプローチウェッジが110ヤードとなるように組むということです。さらに小さい距離を打つウェッジを入れるとなると、飛び系のアイアンを使っている場合、距離のフローを考えると58度や60度まではこないということが言えます。プロが58度を入れているからといってチョイスすると、その次の 52度までの間にかなりの距離の幅ができてしまい、本当は最も繊細に打ち分けなければならない距離帯がおろそかになってしまうんですね。そもそもアベレージクラスのアマチュアがハイロフトのウェッジを使うとゴルフが下手になるんですよ。なぜかというとボールがディスタンス系になって打ち出しが高くなってしまうからです。球離れが早くてフェースにくっつかないからポーン!と上に飛び出すんですね。するとどうしても空中戦みたいなショートゲームになりますが、これだとラインが出せないから大味なアプローチになってしまいます。
ショートゲームが一番寄せやすいのは転がしで、それができないときにボールを上げるという発想になっていきますが、そのときもなるべく低く飛ばしたほうがラインは出せるんですね。だからプロはむやみに球を上げないんですが、アマチュアはいきなり上げるところから考えがちで、要は逆をやってしまっているんですよ。プロは52度で寄せられるなら58度は使わないし、48度でも問題ないなら48度のほうがラインが出せると考えます。ところがアマチュアは「ライン出し」という概念がないからイージーに58度で打ってしまう。こういうところにスコアの差が出てくるし、いまその間違いに気付いたなら即刻改めたほうがいいんです。ロフトがあればあるほどフェースがどこを向いているかわかりにくいので、方向性にズレが生じやすくなります。プロはそれをわかってよりロフトの立ったクラブで打とうとするのですから、それを真似しない手はありません。そういうこともあってギャップウェッジはお尻の58度から決めてしまってはダメなんですよ。
58度で70ヤードだとすると、9番アイアンの130ヤードと実に60ヤードの幅ができてしまいます。52度て90ヤードなら、その上のピッチングウェッジが120ヤードですからそこには30ヤードの幅です。100ヤード前後という、プレーしていれば頻繁に残る距離をそういう幅の中で打っていくのではスコアがまとまるはずがありません。だったらピッチングウェッジが45度ぐらい、その下は50度のピッチングサンド、そして56度のサンドウェッジというのが最低限の組み合わせです。本当はもっとこの辺りを厚くすべきで、45度、50度56度という約5度のピッチから45度に加えて48度、52度、56度とい4度のピッチにする手もあります。ウッド類を厚くするよりもこちらを厚くしたほうがアマチュアにはずっと使い勝手がいいはずです。私にしたって若い頃は60度のウェッジを0.5度立てて59.5度にしたものを入れていましたが、シニアになってからは58度に替えましたし、最近ではそれでも球が飛ばなくなってきているので57.5度にして使っています。
そうしないと番手のつながりが悪くなるからで、これは非常に重要なことです。球が飛んでいるときはアイアンは4度ピッチでウェッジは3度ピッチだったものが、飛ばなくなった現在はアイアンからウェッジまですべて4度ピッチにしていますが、これ
が私にとってのベストなセッティングです考え方を変えれば、ドライバーの飛距離が220ヤードのアマチュアはサンドウェッジのフルショットが70ヤードなわけですから、その150ヤードの幅のでパターを除いた13本を使えるので有利なんですよ。特に6000ヤード前後のコースでプレーする場合はプロよりも細かく距離が打ち分けられるはずなんです。というわけなので「飛ばない」と嘆くよりもこのアドバンテージを生かして前向きにゴルフを楽しんでください!
【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山
ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!
公開日:2020.05.11