ボールを転がすだけのパッティングがなぜ難しいかというと、パターのヘッドに対してシャフトがまっすぐついていない、という構造的な要素もあります。シャフトがまっすぐ真上に伸びているパターをブランコのように振り子運動させて打てれば簡単ですが、まっすぐシャフトをつけるのはルールで禁じられていて、必ず角度をつけなくてはならないのです。そのためにゴルファーは手元の動きとヘッドの動きをアングルがある中でとらえなくてはならず、そこにパッティングの難しさがあるといえます。飛球線に沿ってシャフトを動かすのは一番簡単なので、角度のついているシャフトをまっすぐにしてストロークすることもできますが、それだとヒールが浮いてしまって、ボールは右に転がってしまいます。
ロングパターはその長さによって、このようにストロークする感覚が出るのでやさしいともいえますね。というように、思ったところにまっすぐ転がすのがままならないのがパターですが、グリーンには傾斜もあれば芝目もあって、まっすぐ転がせばいいというものじゃないというところに、パッティングの難しさがあるわけですよ。アマチュアのパッティングを見ていると、曲がるラインははっきり言って下手ですね。フックラインやスライスラインを入れられる人は上手い人で、ほとんどの場合はポロポロ外しているような気がします。なぜ外してしまうかというと、基本的なストロークができていないこともありますが、フックラインやスライスラインの打ち方を知らない場合も多いと思います。ラインに対してまっすぐ打とうと思うだけでは入らないんですよ。たとえばフックラインは右側が高くて左側が低いじゃないですか。当然右に打ち出して左にカーブするラインをイメージしますよね。
カップの入り口は前面の180度と右後ろ90度の合計270度です。これをただまっすぐ右に打ち出してしまうとラインに乗りにくいんですね。なぜかというと、少しでも右への打ち出しが甘いとボールはラインをはずれて左に転がってしまうからです。ラインの右へミスをすればまだ入る可能性は残りますが、ラインの左へ打ってしまえばノーチャンスです。ですから、ラインに対してしっかり右に打ち出すことがフックラインのコツです。逆にスライスラインはラインの右へボールを出してしまうとノーチャンスです。ラインの左へボールを引っ張るように出していかないとなかなかラインには乗ってくれません。このことを知らないで、ただラインに対してボールを打ち出そうとすると、カップへの意識やボールに働く重力の影響で、打った瞬間にラインから外れてしまうのです。要するに、フックラインは思った以上に右に打ち出さないとラインに乗りませんし、スライスラインはフェースを閉じたままボールを抱え込むように左にフォローを出さないと、やはりラインには乗らないということです。
経験豊富なゴルファーはこのことを感覚的にわかっているから入るのであり、知らないとカップの低いほう、いわゆるアマチュアサイドに外すことが多くなるというわけですね。となると当然、好きなラインと嫌いなラインが出てきます。藤田寛之プロのようなフェード打ちはフェースを閉じて使いますからスライスラインが得意ですし、タイガーのようなフック打ちはフェースを開いて使うのでフックラインが得意なのです。みなさんも自分がどちらのラインが得意かはわかっていたほうがいいと思います。得意なラインは全力で入れにいく、得意じゃないラインは外れても「まあいいや」と気にしない。そういうメリハリが大事なんです。最後に大事なことを教えましょう。フックラインやスライスラインではボールの位置を変えます。フックラインはボールを右に寄せてください。
そうすることでインサイドからボールをとらえられるので右に打ち出せるのです。スライスラインは逆でボールを左に置きます。そうするとヘッドがやや外から入ってくるので左に打ち出せるというわけですね。これはフックボールやスライスボールを打つときの理屈と同じなんです。曲がるラインはサッパリ入らない、という人はボールの位置を変えて打ってみてください。きっとラインに乗るようになると思いますよ。
【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山
ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!
公開日:2020.05.23