あなたにとって100点のショットとは何ですか?そう問われたらあなたは何と答えるでしょうか?「カップインするのが満点に決まってるじゃないか」そう答えた人は大間違い。ショットで大事なのはどこにボールを置くかということなのです。つまりカップに届かなくても100点のショットになり得るということですね。たとえば7番アイアンの距離は155ヤードで8番アイアンは140ヤードとしましょう。ピンまで149ヤードあった場合どうしますか?8番アイアンでは届かないけれども、140ヤードよりも飛ぶように打って149ヤード先のピンに近付けようとする、それがプロのチョイスです。
7番アイアンを使えばピンにドンピシャのショットが打てるかもしれませんが、それをやらないのがプロで、なぜかというとそう上手くいかないことを知っているからです。ピンをオーバーして寄らない場所にボールが行ってしまう可能性もあるし、そもそも155ヤードきっちり飛ぶとは考えません。ところがアマチュアはカップに入るのが100点だと考えるから迷わず7番アイアンで打ちますよね。結果はというと、グリーンオーバーすることもあるし、左右に曲げて乗らないこともあります。一方プロは8番アイアンで打ってピンの手前まで持っていきますが、それで合格点なんですよ。つまり自分が計算づくでどこに寄せていくのかがアプローチショットであり、必ずしも届かなくていいんです。10メートルのパットの距離感がとてつもなく良かったりする場合、無理にピンを狙ってボギーの可能性を高くするのではなく、145ヤード打って楽にパーをセーブすることがプレーの流れを良くするんです。アマチュアの人は1番手落とせば上手く打てる可能性がぐっと高まりますから、このマネジメントがどれだけ得策かわかるでしょう。
そう考えれば「俺アプローチが得意なんだよね」という場合、グリーンの手前でもいいんですよ。9番アイアンで130ヤード打って、ピッチングウェッジでピッチエンドランをすればイージーパーが取れるじゃないですか。こういうことを普通にやっている人が上手い人だということを忘れたらいけませんよ。それに比べ伸び悩んでいるアマチュアは自分の能力の100%、いや120%発揮しないと出ないショットを望んでるんですよ。そんなこと起こるはずがないのに、その起こらないことを望みながら打って失敗しているんです。9番アイアンなら100球打って90球はそこそこのショットが打てるというアマチュアも、5番アイアンとなると100球中20球ぐらいしか上手く打てないのが現実です。なのにピンまで180ヤードで5番アイアンを握ってしまう。そし
て大きなミスをしてしまう。こういうパターンから抜け出さないといつまで経ってもスコアは減りません。だったらその状況でできることを選択し、それを積み上げていったほうが断然良い結果を生みますよ。
5番アイアンで打たず6番アイアン、それも不安なら7番アイアンと自分のショットの成功確率に応じてリスクヘッジしていく勇気を持ってください。アプローチショットとは本来、ピンの近くからのショットを指すのではなく、ピンに近付けていくショット全般を指すのですから、180ヤードあったとしても「ピンに近付ける」という発想で打てばいいんですよ。ピンに寄せる、あわよくば入れるではなくて、ピンに近付いてなおかつ自分の得意なショットが残ればいいと考えられるようになれば、あなたのゴルフはだいぶ変わるはずです。それはアマチュア的な発想に思えるかもしれないけど、プロだってゲームの展開次第では大胆にレイアップしてきます。大差のトーナメントリーダーで迎えた最終ホールでギャンブルする必要はありませんからね。オンを狙えたとしても、アイアンで刻んでパーを取りにいくのが強い選手です。ですからみなさんもよりパーが取れる可能性の高い番手や攻め方をチョイスするようにしてください。
【書誌情報】
『タケ小山のゴルフ超上達ノート 誰も言わない実戦的スコアアップ術』
著者:タケ小山
ゴルフスイングの習得に熱心になるあまり、スコアが二の次になっているアマチュア・ゴルファーが多い昨今。「残念ですが、こういう“スイング道”信者はスコアは作れない」と著者は言う。では、肝心のスコアメークの方法は? 本書では、ショット、アプローチ、パッティング、マネジメント、スコアアップの5項目でその方法を解説。2019年の新ゴルフルールの活用法など、具体例を上げて、わかりやすく紹介している。タケ小山流スコアの作り方が満載の1冊!
公開日:2020.05.26