市民ランナーに向けたトレーニング
お腹をへこませるような動きをする「ドローイン」によって腹横筋を中心とした筋肉が鍛えられ安定したフォームで走れるようになります。また、高負荷のトレーニングを取り入れ、筋力アップや心肺機能の向上を狙えます。
自宅でも簡単にできるコアトレ:腹横筋を鍛えて体幹を安定させる
ドローインは腹横筋を始め、内腹斜筋、横隔膜筋、多裂筋など、お腹のインナーマッスルを呼吸で鍛えるトレーニングです。腹横筋や内腹斜筋はもちろん、普段はトレーニングすることが難しい横隔膜筋、多裂筋も同時に鍛えることが可能で、腹式呼吸を行いながら、息を吸うタイミングでお腹を大きく膨らませ、息を吐くタイミングでグッとお腹をへこませることで、お腹周りの筋肉が鍛えられます。お腹に力を入れるときには腹直筋に力が入りやすいですが、これではNGです。腹横筋の収縮を意識することがポイントの1つになります。
腹横筋はお腹の筋肉のなかでも〝インナーマッスル〟と呼ばれる身体の内側の筋肉。目視できる筋肉は腹直筋と呼ばれます。一方、腹横筋は深層の筋肉のため直接見ることはできませんが、ドローインで体幹が鍛えられることで身体の軸が安定。姿勢が良くなり、ランニング中のフォームがブレなくなります。また、パフォーマンスをアップさせるだけでなく、腰痛などにも効果的で、その他にもぽっこりお腹の解消などのダイエットや、様々な効果が期待できます。
ドローインで期待できる効果
内側の筋肉、腹横筋が鍛えられることでお腹や股関節周りの筋力やバランスが向上する。
姿勢の改善
お腹まわりのインナーマッスルを鍛えると、体幹が強くなるため、自然と良い姿勢を保ちやすくなります。
腰痛の解消
体幹が鍛えられると、腹横筋が天然コルセットの役割を果たします。腰まわりの負担が減って、楽な姿勢を保てるように。
ぽっこりお腹の解消
内側から下腹部を引き締める効果が働き、ぽっこりお腹の解消が期待されます。
腰まわりのくびれ
腹横筋と外腹斜筋や内腹斜筋が鍛えられることで、ウェストのくびれが出来てきます。
内臓の働きがアップ
姿勢が良くなることで、圧迫されていた内臓が本来のスペースを取り戻して、働きが良くなります。便秘の改善効果や血流が良くなることで冷えの解消につながることも。
ドローインで鍛えられる筋肉
姿勢が良くなることで、圧迫されていた内臓が本来のスペースを取り戻して、働きが良くなります。便秘の改善効果や血流が良くなることで冷えの解消につながることも。
T字ドローイン
ランニングは見えない内側の筋肉(インナーマッスル)を鍛える必要があります。ドローインでインナーマッスルが鍛えられると、身体の軸がブレにくく姿勢もよくなります。骨盤が前傾するので足を前に出しやすくなり、楽に走れます。ただし、簡単そうに見えて、習得に時間がかかります。青学時代、この「ドローイン」ができるまで3ヶ月、「四つん這い」が2ヶ月、「ひざ立ち」で2ヶ月、「T字ドローイン」で3ヶ月かかりました。「ドローイン」から必ず順番に行い、1つが確実にできてから、次に進んでください。
1~3SET/10~30秒
ベルトの穴を見てドローインの効果を確認
「ドローイン」「四つん這いドローイン」「ひざ立ちで行うドローイン」ができたら、最後に「T字ドローイン」を行います。この4つの中で、最も難しく、効果的なトレーニングが「T字ドローイン」になります。これらは、順番に1つずつできるようにならないと、習得できません。これまでと違い、片足立ちにでバランスの悪い中、いかに正しくドローインを行うかがポイント。ドローインができているかの目安として、トレーニング後にウエストを測ってみましょう。ベルトの穴が1~2つ縮んでいたら、ドローインが正しく効いている証拠です。
肛門を締めながらお腹をへこませる
両腕を広げて上体を前傾させながら、片足を持ち上げてバランスを取ります。胸を張って、背筋は伸ばしたままで、ゆっくりと息を吐きながら、下腹部から肛門を締めながら、お腹をへこませていきます。お腹がへこんだらその状態を10~30秒。その間、呼吸は浅く続けてください。終ったら、両腕を閉じて上体を起こします。これを1~3回行います。
【Point】片足立ちで角度をつける
片足を持ち上げてバランスを取ったときに角度をつけると腹横筋に刺激が入りやすくなります。
【出典】『「山の神」神野大地の必ずやるべきランニングバイブル』 著:神野大地
【書誌情報】
『「山の神」神野大地の必ずやるべきランニングバイブル』
著:神野大地
青山学院大学時に「山の神」として一躍脚光を浴び、箱根駅伝4連覇に貢献した神野大地氏。彼が日々実践するトレーニングとランニングメソッドを初心者ランナー向けにまとめた一冊。元々は学生時代、ケガに苦しみ思うように走れなかった時期に、食事やセルフケアを見直しトレーニング法を身体に負担のかからないように改善するなど、様々な改革を実行した神野氏は大学卒業後も自身が考案したトレーニングでケガを予防しながら記録を伸ばしています。正しいランニングフォームで走ることはもちろん重要ですが、走り始める前のストレッチ法や、ランニング後のセルフケアの仕方などランナーの心構えとして知っておきたい実践法を紹介。
公開日:2024.04.29