裁判離婚でよくある理由③「モラによる離婚」
モラハラを疑ったらすぐ相談を
モラハラ(モラル ・ ハ ラスメント) とは、言葉や態度による精神的暴力で相手を追い詰め、それによって相手が感じている恐怖感を利用して支配しようとするDVの一種です。
モラハラによる離婚を考えたときにやるべきことはDVの場合と変わりませんが、解決への第一歩は、自分がモラハラの被害者であることに気づくことです。モラハラは目に見えない言葉による暴力なので、被害を受けているということを自覚しづらい傾向があります。また、自覚していても、自分にも落ち度があると考えて、がまんする人も少なくありません。加害者は家庭内でだけ精神的に相手をおとしめ、外では良い顔をするという特徴もあります。モラハラはどんどんエスカレートする傾向にあり、ふたりで解決するのは困難なため、少しでも「モラハラかな?」と思ったらすぐに女性センターなどに相談しましょう。
離婚手続きは弁護士を通して行う
離婚手続きは、本来は夫婦で話し合いをして行うべきですが、モラハラやDVが原因の場合は、当事者のふたりきりで話をするのは危険なため、離婚を切り出す段階から弁護士に相談し間に入ってもらうとよいでしょう。話し合いがまとまらず調停や裁判になった場合も、弁護士と相談しながら手続きを行うのが得策です。調停や裁判でモラハラを主張するのは難しく、主張の仕方を間違えると単なる夫婦喧嘩とみなされ、離婚が認められない場合があるので、弁護士にアドバイスをもらいながら進めましょう。
ポイント
- 日記や録音などでモラハラの証拠を残しておく
- 話し合いは、第三者を入れて行う。
モラハラはどのように立証するの?
【モラハラとみなされる行為】
- 相手を見下すような暴言を吐く
- 常に自分が正しいと考え、自分の意見を押し通そうとする
- 明らかに自分に非があることでも相手のせいにする
- 相手を意図的に無視する
【調停や裁判で配偶者のモラハラを認めてもらうには?】
1.証拠を集める
- 加害者の言葉が聞き取れる音声データ・動画
- 相手が送ってきたメール・手紙
- 女性センターなどに相談した記録
- メンタルが不調になった場合は医師の診断書
- 相手の言葉をつづった手紙・メモ・日記(日付、状況、言葉を具体的に)
2.言動を具体的に説明する
- どのような場合にどのような言葉を言うか
- 極度に自己主張が強いというモラハラ特有の言動がある点
森元先生からのアドバイス
モラハラを理由とした慰謝料の請求が認められるケースは多くはありませんが、証拠によって相手に非があることが明らかになれば認められる場合があります。弁護士や裁判所が入ってからの相手の言動が証拠になる場合もあります。こちらは相手の挑発に乗って感情的な対応をしないよう気を付けましょう。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり
【書籍情報】
『増補改訂版 前向き離婚の教科書』
著:森元みのり
心の整理方法から、金銭問題、子どもの問題、離婚手続き、離婚後の生活設計までをコミックと図解でわかりやすく説明しています。6年ぶりの改訂版では、法改正に伴い、養育費の現状、ひとり親支援、再婚の注意点、熟年離婚、子連れ再婚、事実婚・内縁の離婚、共同親権などを新たに追加しました。離婚に悩む方へおすすめの一冊です。
公開日:2024.07.02