7:心が不安定な場面|無気力でボーッとしているとき
○エピソード
母は、以前はそうでもなかったのですが、最近は朝起きてからもボーッとしていることが多いです。話しかけても気がつかないことも多く、心配です。
【対応1】不眠などもみられる場合は、必要な医療につなげる
無気力な状態が続き、うつ症状(体が重い、眠れない、食欲がないなど)がみられる場合、早い段階で身近な医療関係者に相談、または医療機関を受診しましょう。
【対応2】本人の正面に立ち、認識してもらってから話しかける
認知症の影響で、話しかけてもあなたに本人の注意が向いていない可能性があります。本人の正面に立ち、目をしっかり合わせ、本人があなたを認識したことを把握してから声をかけましょう。
目が合う頻度が増え、認識できているとわかる時間が増えてきたら、本人とのコミュニケーションの量を増やしましょう。声をかけてくれる人に注意を向けられるようになると、ボーッとする時間が減る可能性があります。
【対応3】無理に声をかけず、たまに隣に座り、時間を共有する
本人がボーッとしていて無気力な場合や、声をかけてもしっかり反応が無い場合は、何かの活動を促すのが逆効果の場合もあります。そんなときは隣に座り、のんびり一緒に時間を共有することから始めてみましょう。一緒にいるだけですが、実はこうした寄り添うかかわり方を中長期的にすることは、本人に心理的な安心感を与え、精神の安定につながります。
【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.07.24