3年後には世界3位?インドがIT大国になれたのはなぜ?【図解 地理と経済の話】
アメリカが夜だとインドは昼
3年後にはGDPがドイツ、日本を抜いて世界第3位の経済大国になるといわれているインド。その原動力となっているのがIT産業です。契機は1991年にはじまった経済自由化。従来の閉鎖的な政策から対外開放政策に方針転換し、それが実って経済発展につながりました。
インドのIT産業はアウトソーシング(外部委託)が40%を占めているのが特徴です。世界のIT企業が、インドにこぞって開発・営業・物流といった業務を発注したことで、インドはIT大国といわれるまでになったのです。
アウトソーシング先にインドが選ばれた理由のひとつが、シリコンバレーとインド(デリー)の12時間半の時差です。アメリカとインドで、昼夜入れ替わりながら業務をシームレスに引き継ぐことができるため、効率よく作業を進められるというわけです。
インドが世界第1位の人口(潜在的な労働人口)を抱えている点も無視できません。さらに世界最高峰の理工系大学といわれるインド工科大学をはじめ多くの教育機関が整備され、優秀な人材を多数輩出しています。たとえば、Googleの現CEOのサンダー・ピチャイがインド工科大学の出身です。また、インドでは英語が準公用語というのも、英語が主流なITの世界で働くうえで大いに役立っています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
公開日:2024.10.05