日本人が発明したインスタントコーヒーによって一気に儲けた国がある【図解 地理と経済の話】
インスタント用品種の生産地ベトナム
ベトナムはコーヒー豆の生産量が世界第2位のコーヒー大国です。17~18世紀にキリスト教の宣教師によって伝えられ、19世紀にフランスの植民地となってから大規模な生産が行われるようになりました。
日本人が好きなコーヒー豆の銘柄を挙げるとしたら、キリマンジャロ、ブルーマウンテン、コナ、グァテマラといったあたりのアラビカ種になるでしょうか。ベトナムでもアラビカ種は栽培されています。しかし、ベトナムで主に栽培されているのはロブスタ。アラビカ種に比べ、ロブスタは苦味や渋みが強く、レギュラーコーヒーとしての評価が低いのです。
ただしその一方で、ロブスタはカフェオレやアイスコーヒーとしてよく飲まれており、需要がないということではありません。
エスプレッソにも必ずブレンドされています。何よりインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料として使われているのは、主にロブスタなのです。
ちなみに、現代の生活に溶け込んでいるインスタントコーヒーですが、即席化をはじめて成功させたのは化学者の加藤サトリという日本人だとされています。つまりベトナムは、日本人が発明したインスタントコーヒーを一大産業にした国ということになります。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
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公開日:2024.10.11