氣が充実していれば、下半身がだらしなく、ゆるむことはない
スウィングにおけるパワーの正体のひとつは、上半身の捻れと下半身の粘りでした。上半身の捻れと下半身の粘りのギャップが、スウィングのパワーの大きさになります。ドアスウィングとは上半身と下半身が同じ方向に回ってしまうと、両者のギャップがほとんどゼロに近く、そのために飛ばない、弱々しいボールになってしまうわけです。
ここで重要になるのが、下半身の粘りです。
荒川先生が私たちにやらせた、バックスウィングでスタンスをオープン、ダウンスウィングでクローズにさせる練習は、前者は主に上半身の捻れ、後者は主に下半身の粘りを体感させる練習でした。消しゴムの上側と下側を反対に捻るように、バックスウィング、ダウンスウィングそれぞれで、最大限のパワーを感じろというわけです。
粘りのない下半身について先生はよく「氣がゆるんだだらしない下半身」という言葉を使いました。オーバースウィングやスウェーなどを大げさにやってみてください。あるいはダウンスウィングでドアスウィングをやってみましょう。すると本当によくわかるのですが、氣がどこかに抜けて逃げてしまっているようで、体に締まりがないのがわかります。下半身がだらしなく、ゆるんでしまうのです。スウィングのパワーだけでなく、氣の存在も体感できる練習ということで、あえて書かせてもらいました。
【書誌情報】
『ゴルフのトップコーチが教えるスウィングの真髄』
著者:辻村明志
上田桃子、小祝さくらプロをはじめ、女子のトッププロたちをコーチしている本書の著者・辻村明志氏。王貞治選手の一本足打法を作り上げた故・荒川博氏に師事し、ゴルフ指導に取り入れたことは有名だ。本書は、荒川氏から受け継ぎ、コーチングに活用している「氣のスウィング理論」を解説するもの。「氣は心を動かし、心が氣を動かす」という、同氏の考えに基づき、氣の力をゴルフスウィングに活かすことを目的に、その方法をイラストと写真を使いわかりやすく紹介する。
公開日:2020.06.15