不安障害は病気のリスクが2倍
不安障害はさまざまな場面において人の心に影響を与え、いろいろな症状を引き起こします。では、人の体に与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
不安障害の発症で高まるさまざまな病気のリスク
不安障害、特にパニック発作を伴う障害では、自律神経のバランスが乱れ、緊張的活動を担う「交感神経」が過剰に働くようになり、発汗、動悸、体温上昇などの身体的な変化が起こります。不眠や興奮、イライラ、頭が真っ白になるといった症状も、これらの身体的症状から引き起こされると考えられています。
交感神経優位の反応は、血流の増加によるものが大きく、血管や心臓の負担が増えます。また、パニック障害の患者はそうでない人に比べて、狭心症や心筋梗塞といった心血管系の病気にかかるリスクが2倍ほど高いともいわれています。
不安障害がもたらす体の病気
不安や恐怖を感じたとき、人の体は緊張状態になり、交感神経が活発になります。そのため、強い不安を感じると動悸や発汗、呼吸困難など、交感神経の働きによる激しい身体状態に陥ります。
長期的に見た場合、一部の不安障害はこれらの病気の原因になるともいわれています
心筋梗塞
心臓を動かすための血液を送る冠動脈が詰まり、血液の流れが途絶えてしまう症状。
心房細動
心房といわれる心臓の上の部屋が不規則に収縮し、十分に機能しなくなった状態。
狭心症
冠動脈が細くなって心臓に供給される酸素が不足し、胸部に痛みや圧迫感が生じる。
不整脈
心臓の心拍のリズムが乱れた状態。動悸や息切れ、めまい、胸痛などの症状を引き起こす。
特にパニック障害の患者は、心血管系の病気にかかる確率が高いという研究結果もあります
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修
現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。
本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。
公開日:2024.12.09