クロマグロはなぜ「黒いダイヤ」なのか? 億がつくほどの価値生み出す日本独自の“初物文化”とは【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

初物を好んで食べる日本独特の文化

活気あふれる市場で行われるマグロの初競りは、ニュースにもよく取り上げられる新春の風物詩です。2025年は、青森県大間産クロマグロの276kg物が1匹2億700万円で競り落とされました。一番マグロには、なぜこんなにも高い値がつくのでしょうか?

理由のひとつに「初物」を好む日本文化があります。初物とは、その季節にはじめて収穫した果物や野菜、魚類のこと。季節のはじめのものは、鮮度や希少価値の要素によって少々高くても売れやすいという特徴があります。また、初物は縁起がいいと考えられるため、マグロを購入する業者は、ゲン担ぎの意味も込めて初競りで大きなお金を投じるのです。

加えて、2つ目の理由は「高い宣伝効果が見込める」から。お正月のマグロの初競りは大きく報道されやすく、一番マグロの落札者は多くのメディアに露出できます。破格の値段は人々の注目を集め、そのマグロを食べられる寿司店やレストランは集客アップすることができるのです。

ちなみに最近では、北海道・函館産ムラサキウニが1枚700万円で競り落とされるなど、「一番ウニ」も注目を集めています。外国人観光客の増加もあり、今後の海産物市場はさらなる盛り上がりを見せるかもしれません。

ニュースでよく聞く「一番マグロ」とは?

「一番マグロ」の「一番」は、1㎏あたりの取引価格が最も高かったことを意味する。

マグロの王様「クロマグロ」

マグロの中でも最高級とされるのがクロマグロ。「本マグロ」の通称でもおなじみ。

漁獲量が減少していることもあり、今や「黒いダイヤモンド」とも呼ばれる。

鉄分を感じさせる酸味と、とろけるような味わいは、寿司店でも大人気。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。

「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。

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