ハチミツとサケが好きなのは本当? クマの意外なグルメ事情とは【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

ハチミツとサケが好きって本当?クマの意外なグルメ事情

美味しいサケを見極めて食べる

クマの好物がハチミツとサケ。 それは事実ですが、好きだからといって、がむしゃらに同じものばかりを食べているわけではありません。 好物を口にするにしても、そこには本能に加え、選択や学習という意外に知的なメカニズムが隠されています。

ハチミツは、マレーグマにとって貴重な糖分 補給の手段です。ハチの巣を見つけると鋭いツメでこじ開け、そのなかにある蜜を舐め取るうえに、ハチの幼虫までしっかり食べます。ちなみに、クマの鋭敏な嗅覚は、数百m離れていても蜜の甘い香りを察知できるといいます。

一方、サケはヒグマにとって代表的なエサのひとつです。 遡上がはじまると、たくさんのヒグマが川辺に姿を現します。

ただし、手当たり次第に食べるわけではな く、脂ののった個体を見極め、頭(脳) や皮な ど栄養価の高い部位を選んで口にします。 一方で、産卵を終えてやせ細ったサケには目もくれ ません。カロリー効率を計算した、非常に賢い食べ方をするのです。

こうした食のスタイルは、親子で似ることがわかっています。効率のよい食事法を、子へ授けているといえるでしょう。つまり、クマは季節や状況に応じ食べるものを柔軟に変化させ、さらにそれを代々受け継いでいるのです。

好物はほかにも! 日本にすむクマのグルメ事情

バランス重視? エゾヒグマの食べ物

● 春(4〜5月)
 フキ・ギョウジャニンニク・ヨブスマソウなどの山菜、新芽・若葉、動物の死骸(エゾシカなど)、アリ、小動物
● 夏(6〜8月)
 ヤマグワ・ハスカップ・ウワミズザクラ・サクランボなどの果実、アリ、ハチの巣(蜜・幼虫)、昆虫、エゾシカの子、サケ
● 秋(9〜11月)
 ドングリ(ミズナラ・コナラ・ブナ)、ハイマツ・ナナカマド・キハダ・ヤマブドウなどの果実、サケ(知床のみ)
● 冬(12〜3月)
 冬眠中は食べない。母グマは巣穴で出産・授乳するため、秋のうちに栄養を蓄えておく

手当たり次第ではなく、同じサケでも栄養価の高そうな個体・部位を選んで捕食します。

あっさり派? ニホンツキノワグマの食べ物

● 春(冬眠明け〜初夏)
 フキノトウ・アザミ・ミズバショウなどの山菜、新芽・若葉、アリやハチの幼虫、動物の死骸
● 夏(6〜8月)
 サルナシ・ヤマグワ・ウワミズザクラなどの果実、アリ、スズメバチの巣、昆虫、小動物、トウモロコシなどの農作物
● 秋(9〜11月)
 ドングリ(ミズナラ・コナラ・ブナ)、クリ・クマノミズキなどの果実
● 冬(12〜3月)
 冬眠中は食べない。ヒグマ同様、妊娠した母グマは秋のうちに栄養を蓄えておく

ツキノワグマは、ヒグマと比べると食事の好みもあっさりめ。木の実や山菜が主食です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司


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