縄文時代からそばを育てていた!? 北海道がそば生産量No.1の理由【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

実は日本の「そば」の4割は北海道で生産している

縄文時代から続くそば栽培の歴史

そば処として有名な地域といえば、長野県(信州そば)や福井県(越前そば)などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、実は日本一のそば生産量を誇るのは北海道で、その比率は全国の約4割を占めます

北海道におけるそばの歴史は古く、南西部の南茅部町にあるハマナス野遺跡から縄文時代前期末のそばの種実が出土しており、当時からそばを栽培していたと考えられています。

北海道では江戸時代にもそばが栽培されていたらしく、元禄9年(1696)に松前藩が南部藩よりそばの種子を取り寄せ、種をまいたとの記録が残るほか、アイヌの人々も和人との接触の中で農耕を行うようになり、そば栽培も手がけていたと考えられています。

また、北海道沿岸部でニシン漁が盛んに行われていた江戸時代後期から明治時代にかけては、干物にしたニシンをそばに載せて食べるニシンそばが郷土料理として定着しました

明治時代以降、開拓が進むにつれそば栽培も盛んに行われるようになりました。特に幌加内町では、米の減反政策を機にそばの栽培が本格化し、昭和55年(1980)にはそばの作付面積が日本一になりました。なお、幌加内町にある高校には、日本で唯一の「そば」の科目があり、「そば打ち」の授業を行っている学校があります。

北海道のそば生産量は圧倒的1位

北海道名物「ニシンそば」

「ニシンそば」というと京都が有名ですが、北海道でも江戸時代からニシンそばが食べられており、今も郷土料理として親しまれています。北海道のニシンそばは甘露煮にしたニシンを載せたもので、そのルーツは江差町でニシン漁が栄えた頃の網元「横山家」に伝わるレシピだと言われています。

令和6年(2024)産そば(乾燥子実)の都道府県別収穫量および割合

出所:農林水産省「統計情報」(令和7年4月8日更新)

乾燥子実:食用を目的に作付けされた子実(景観作成用として作付けされたものは除く)。

令和5年(2023)産水陸稲の都道府県別収穫量および割合

出所:農林水産省「令和5年産水陸稲の収穫量」

北海道の米生産量は実は全国2位!

江戸時代初期から、松前藩は蝦夷地で米を作る試みを行っていましたが、寒さが厳しい環境のため大規模栽培には至りませんでした。その後、明治6年に「北海道稲作の父」と称される中山久蔵氏が「赤毛」という寒さに強い品種を作ることに成功。以降、北海道米は改良が繰り返され、多くの品種が生み出されました。

現在は、「ななつぼし」が道内の作付面積の約半数を占め、次いで北海道米の最高峰と称される「ゆめぴりか」が3割弱を占めています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』監修:和田 哲

【書誌情報】
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監修:和田 哲


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