曖昧なアドバイスはダメ! 必要なのは「今すべきことに集中させる」アドバイス【高校野球から逆算した少年野球デキる選手を育てる方法】

【習得レベル:★★☆☆☆】

置きにいくな! しっかり腕を振れ!

 野球によくある光景。
 カウントはスリーボールワンストライク。コントロールが不安定なピッチャーにベンチの監督から声がかかります。

「置きにいくなよ! しっかり腕を振れ!」

 でも、投手には焦りの表情が見られ、結果はフォアボール。ピンチが余計に広がる結果になってしまいました。

 学童野球においても、「置きにいくな!」とか「腕を振れ!」というのはもはや定型句のような言葉がけになっていますよね。
 ただ、果たしてこの声かけ、学童野球においてアドバイスとして本当に投手に届いているでしょうか?

 投手はストライクを取るために投げています。これはどのカテゴリーでも言えますが、投手は四球を出したいわけではありません。ストライクを投げたいのに投げられないから困っているところへ、「置きにいくな! 腕を振れ!」と言われると、どのように感じて、どのような行動になるでしょうか?

「投手が腕を振っていないからストライクが入らない」
 というような声に聞こえませんか?
 実際の反応は様々だと思いますが、これではネガティブな方にあえて引っ張っているような感じますし、少なくともポジティブな形で伝わらないことが多いと思います。

 私は高校野球監督時代、投手には敢えてこんな言葉をかけるようにしていました。

「置きにいっても良い。丁寧に投げよう。このカウントから打たれたら仕方ない」
 野手に対しては「振られるから強い打球が来るよ」、ベンチには「みんな、打ち損じを祈ろう」こういった言葉かけをしました。
 これが正しいということではなく、先ずは投手に「自分のやれることに集中させる」ことが指導者の役目です。

 がむしゃらに腕を振ったからストライクが投げられるのでなく、イメージ通りに身体を使って投げるとストライクが投げられる。このことを指導者は理解しておく必要があります。
 まだ身体も精神も未熟な子どもですから、何に集中するべきか、指導者が選手の言葉の受け取り方までを意識してアドバイスしてほしいですね。

<「下半身を使え、下で投げろ!」という指導>

 ピッチャーに「下半身を使え、下で投げろ!」とベンチから大きな声で指導している監督さんを見かけることがあります。
 でも言われた子どもは、それを聞いて何をしたらいいのでしょうか?
 実は言っている指導者自身も、その子のどこが悪いのか、具体的に何をしたら良いのかが分かっていないため、そのような曖昧な言葉がけになってしまっているのだと思います。

 私は「下半身を使え」という言葉は、意味が広すぎて何を言っているのかわからないため、高校監督時代も使いませんでした。

・後ろ脚の膝が折れ過ぎている → 足首、膝、股関節が一直線になるように意識してごらん
・歩幅が狭い → 並進運動を大きく、骨盤をもう少し前に出そう
・踏ん張りが効いていない → 踏み出した前脚の膝で踏ん張るのではなく、股関節で折り畳むように

 など、「下半身を使え」というという曖昧な指導ではなく、指摘するポイントは具体的に伝えたいですね。
 選手がスキルの感覚を少しでも早く掴むために、指導者からは言語化して選手に伝えることが大切です。

(記事提供:ヤキュイク)

著:伊豆原真人

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