「とりあえず赤チン」で何でも治す!? 家庭で対応していた昭和の医療事情【眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話】

ケガしたら赤チンが大定番! 家庭でなんでも治す昭和の医療

病院よりも家庭で応急処置

転んでひざをすりむいたとき、まず取り出されるのは赤い消毒液――そんな光景が昭和の家庭では当たり前でした。

「赤チン」と呼ばれたマーキュロクロム液は、子どものケガの応急処置に欠かせない存在で、塗れば独特の赤い染みが皮膚に残りました。現在は国内で製造・販売されていませんが、当時は「とりあえず赤チンを塗っておけば大丈夫」という万能薬のような位置づけで、常備薬市場ではトップクラスの売上でした

家庭の救急箱には、赤チンをはじめとした消毒液やガーゼ、包帯などが常備され、ちょっとしたケガでは病院に行かず、家で手当てするのが基本でした。学校でも保健室の先生が同じように処置をしてくれるため、「ケガは家庭や学校で対応する」という感覚が根づいていたのです。

こうした背景には、病院が現在ほど身近でなかったことがあります。昭和初期には医療保険制度が発展途上で、応急処置はまず家庭で済ませるのが一般的でした。つまり、親が子どもの健康管理を一手に担っていました。

多少のケガや体調不良なら「家で治す」という前提があり、病院に行くのは重症のときだけ。便利で安全な現代医療と比べると心もとないように見えますが、その分、家庭での工夫と知恵が生きていたともいえます。


昭和の救急箱の中身

家庭には応急処置用の薬品や道具が備えられ、たいていのケガや病気は病院に行かずに自分たちで処置していました。


傷にはとりあえず赤チンで消毒した

当時は「赤チン」と呼ばれる消毒液を患部に塗るのが、ケガをしたときの定番の対処法。塗った部分は赤く染まり、2~3日は色が残ったままでした。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』監修:町田 忍

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』
監修:町田 忍


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