早期発見と適切な対応が重要。覚えておきたい訪問看護師のための虐待対応【訪問看護のアイデア帖】

訪問看護のコミュニケーション「在宅虐待が疑われたら」

訪問看護師として療養者の生活に深く関わる中で、残念ながら虐待の徴候に直面することがあります。特に在宅においては、介護者からの虐待は表面化しにくく、早期発見と適切な対応が非常に重要です。


虐待の種類

虐待は、身体的なものだけでなく、さまざまなタイプがあります。在宅で介護者から行われる虐待として、下の5種類が挙げられます。

身体的虐待

● 殴る、蹴る、つねる、たたくなどの暴力
● やけどを負わせる、骨折させるなどの行為
● 身体拘束(不適切な拘束具の使用、ベッド柵で囲むなど)
● 薬の不適切投与(過剰投与や必要な薬を与えないなど)

心理的虐待

● 暴言を吐く、侮辱する、脅す
● 無視する、人として扱わない
● 療養者の意見を頭ごなしに否定する
● 介護放棄をほのめかす
● 排泄の失敗を執拗に責める

介護放棄・ネグレクト

● 必要な介護(食事、入浴、排泄、着替えなど)を行わない
● 医療的ケア(服薬管理、褥瘡処置など)を怠る
● 不潔な環境で生活させる
● 安全を確保しない(施錠せず外出するなど)
● 必要な福祉サービスや医療機関の受診を拒否する

経済的虐待

● 年金や預貯金を勝手に使い込む
● 必要な生活費を与えない
● 高額な商品やサービスを無理やり契約させる
● 通帳や印鑑を取り上げる

性的虐待

● 療養者の意に反して、性的な行為を行う、あるいは性的な言動を繰り返す
● ポルノグラフィの視聴を強要する

虐待のサイン(療養者・介護者の様子)

虐待は、表に出にくい性質があるため、日頃の観察が重要です。下のようなサインに気付いたら、虐待を疑う必要があります。

療養者のサイン

【身体的徴候】

● 原因不明のあざ、骨折、打撲、やけど、傷などがある
● 皮膚に古い傷や治りかけの傷が複数ある
● 栄養状態が悪い、脱水症状がある
● 不潔な状態が続いている(異臭、髪が絡まっているなど)
● 褥瘡が悪化している、または複数ある
● 特定の部位に頻繁な痛みや不調を訴える

【精神的・行動的徴候】

● 表情が乏しい、うつろである
● おびえている様子がある、介護者を恐れている
● 急に感情的になる、攻撃的になる
● 特定の介護者がいる時に話さなくなる、萎縮する
● 睡眠障害がある、悪夢を見る
● 閉じこもりがちになる、外出を嫌がる
● 金銭に関する不安を訴える

介護者のサイン

【行動・言動】

● 療養者の状態について説明を拒否する、一貫性がない
● 訪問看護師の訪問を嫌がる、時間制限を設ける
● 療養者に会わせようとしない、面会を妨害する
● 療養者に対して暴言を吐く、命令口調になる
● 介護負担が大きいことを過度に訴える、愚痴が多い
● 介護に対して無関心である、放置する傾向がある
● 経済的に困窮していることを示唆する

【環境】

● 家の中が極端に不潔である、ゴミが散乱している
● 適切な介護環境が整っていない(ベッドや車椅子の不足など)
● 生活用品が不足している(衣類、食事など)

次ページ:虐待への対応方法とは

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