アマチュアゴルファーが目指すべきスイングの情報は少ない
ところがそのスイングを作るための情報がそんなにないんですよ。ハンデキャップ1とか2の人から出て来る情報というのは、その人の仲間内でストップしてしまうからです。仲間が10人いたとすると、その10人にだけ伝わる情報なんです。おそらく「俺たちオッサンだからよ、トッププロみたいなバックスイングは無理だよな。それよりこうクラブを上げたほうが楽だよ」「それでも十分距離は出るからね~」みたいな会話があるはずなんですけど、それは表に出てきません。
ハンデがまだ25ぐらいで仲間もいないようなゴルファーはそういう情報に触れる代わりに、ゴルフ雑誌にいろいろと載っているトッププロのメソッドを参考にしてしまうから、とんでもない作品(=スイング)ができあがったりするんです。もしもゴルフ雑誌の記事が、60歳を過ぎている上手なアマチュアゴルファーのノウハウばかりだったら結果は違ってくると思います。フィジカルがいいわけありませんから、松山英樹プロのようには打たないわけですよ。
若手のツアープロがやっているようなトレーニングは、ひとつもまともにできないけれども、全長が6500ヤード以内の世界では、パープレーで回ってくるシニアゴルファーのノウハウが満載だったら、世の中にもっと上手なゴルファーが増えるのは間違いありません。ここがゴルフの面白いところで、年齢や肉体のポテンシャルに関係なく、上手くなることができるスポーツなんです。40代で本格的に始めて、50歳を超えるころには80をコンスタントに切れるようになるんです。
サラリーマンなら社内で「プロ」とか呼ばれるようになると思いますけれど、ある日30歳ぐらいのイキのいい新人が配属されてきて、彼が「大学時代はアメフトをやってました。いまはゴルフにハマってます」みたいな感じだったとしても、コースに行けば絶対に負けないじゃないですか。おそらく彼は120ぐらい打つだろうし、こっちはいつものように70台で回れば社内での立場は安泰です。ゴルフはそういうことが現実に起こる唯一に近いスポーツなんです。
もしこれが社内ボーリング大会とかなら話はまったく違ってきて、最初はアメフト君をやっつけたとしても、彼が1カ月集中して練習すれば簡単にやられてしまうでしょう。持ち前のパワーで速いボールを繰り出すアメフト君に、遅いボールしか投げられない50歳が勝てるわけありません(笑)。でもゴルフならアメフト君が3年頑張ったとしてもまず抜かれないでしょう。少なくともボロ負けすることはないでしょうし、要は有利な立場を長年維持できるということなんです
おまけにゴルフが上手いと優秀に見られますから仕事もスムーズに進みます。実際には関係ありませんけれど、なんとなく「あの人はデキる」みたいな感じになって得をするのが現実ですよね。
このように年配になってから輝ける可能性があるスポーツだけに、取り組み方を間違えないでもらいたいというのが私の願いです。自分のポテンシャルを顧みず、スピード系のスイングを作ろうとして空中分解してしまったらもったいないじゃないですか。ここはやはり圧力系のスイングを覚えて、余裕のあるプレーをすべきなんですよ。
いつも余力を残しながら80前後で回れるようになれば、大袈裟かもしれませんが、人生が変わるかもしれません。ましてや一度覚えてしまえば、年齢に関係なくいつまでもその実力を維持できるわけですから、こんなに素晴らしいことはないと思いませんか?
【書誌情報】
『70台は楽に出る!「圧力系」インパクトの作り方』
著者:阿河徹
ボールがクラブフェースにきちんと当たる確率を高め、飛距離が十分出る― そんなスイングを実現するため著者ススメているのが「圧力系インパクト」。小さなバックスイングで強いインパクトを実現する。本書では、このインパクトの作り方を写真を数多く用いて解説。70台のスコアも可能にする、ゴルファー待望の一冊だ。
公開日:2021.04.04