陸上競技 [走幅跳]競技別解説
イメージの放物線に身体を押し込む
走幅跳は、短距離と同じように体幹を前に押し出して加速する意識で走り、上半身の位置をほぼ変えずに前に跳ぶ競技です。身体に圧をかけて頭の位置を変えず、猛烈に身体を前に押し込んでいく意識が必要で、最大スピードのまま踏み切るには、体幹を崩さないことも求められます。また同時に、助走の段階から放物線を意識し、自分の身体をどのように飛ばすかというイメージを強く持っていなければなりません。
「前に推進して跳ぶ」という動作は、走高跳や棒高跳と同様ですが、放物線のイメージは高跳種目よりも重要だと言えるでしょう。さらに、精密さが求められるのもこの競技の特徴です。ハイレベルな競技者ほど、加速で蓄えた力が抜けないよう助走の足幅やリズムを精密に整え、踏み切るときはAタイプであれば脚・膝・みぞおちを素早くたたみ込み、Bタイプであれば首の付け根と骨盤を浮力で持ち上げて、イメージする放物線の通りに飛ばしていきます。
競技の起源
人間が狩猟を始めて以来、川や溝などを跳び越える動作は自然な形で行われてきた。そのため、前方への跳躍動作は、高い場所を跳び越える動作よりも古くから用いられていた。古代オリンピックでも早い時期から走幅跳が実施され、花形競技として人気を博したという。当時は石や金属などで作られた重りを両手に持って跳んでいた。
空中フォーム
最大スピードのまま身体をどう飛ばすかを強く意識し、踏み切り後に、身体を強く前に押し込んでいく。このとき、タイプに関係なく、頭の位置はピンニングする。
【A】空中で膝とみぞおちが近づく
踏み切り後、腕全体が頭よりも高いところで動作をするのが特徴。A1タイプは腕が後ろから前へ、A2タイプは前から後ろへと腕を回す。
【B】空中で両手両脚が揃う
踏み切り後、腕を下から上へとすくい上げ、身体全体を持ち上げるように腕を使う。B1タイプは腕を後ろから前へと回し、B2タイプは着地のときに前から後ろへと漕ぐようにするとよい。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
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公開日:2021.06.09