体操[ゆか]競技別解説
力強い踏み切りに技の手順を集約
「体操の基本は逆立ちだ」ということは昔からよく言われていますが、これは「体操の基本は手で立つことだ」と言い換えることもできます。バク転で足から手へと連続して着地するように、「足でも着地、手でも着地」が、ゆか種目の基本と言えます。そして、この着地と着地の間に技を挿入するために重要なのは、いかに滞空時間を長くとるかということです。まずは安定して高く跳び、確実に着地できる能力が必要になります。
そのほか、注意したいのは、ステップから踏み切りまでのリズムが人によって違うことです。たとえばバク転を連続して行う場合に、たたみかける人と粘った感じの人がいます。それを無理に変えるとケガをする可能性があるため、あくまで自分がしっくりくるリズムで行うことが大切です。
競技の起源
古代ギリシャ・ローマ時代、体操は幼児教育の一環だったという。18世紀以降、ドイツでその重要性が見直され、1881年に国際体操連盟が設立された。オリンピックでは1896年の第1回アテネ大会から実施されているが、当時ゆかはなく、代わりにロープ登りが行われていた。
踏み切りから手と足の着地
手または足が着地するまでの時間、いわゆる滞空時間を長くとるために大切な要素は、踏み切りです。特に宙返り系の技の場合、空中に飛び出してから動き出しても身体は回転できませんから、踏み切りの段階ですべての手続きを済ませておく必要があります。具体的には、力強く踏み切る瞬間から身体にスパイラルをかけてトランスフォームを始め、猛烈な変体能力を使って重心位置を変えることで、身体が回転しているように見せていきます。このとき、頭蓋平面を保ち、ピンニング技術を使って体幹でいかに身体をコントロールするかがポイントになります。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.06.20