全アスリートに求められるもの
●まず大切なのは「素直であること」
メンタル面も含めて、まず求められるのは「素直であること」です。監督やコーチの指示・助言に素直に応えられるか、そして、自分が引き起こした結果を自分のせいだと受け入れられる素直さがあるかどうか、これは年齢に関係なくすべてのアスリートに求められるものです。また、「素直であること」は、指導者に求められる要素でもあります。選手の不調を感じたときに練習を続けるべきか否かを素直に考えられるか。もうちょっと頑張ってもらいたい気持ちを抑えて、使い物にならなくなったら彼に申し訳ないという気持ちになれるかどうか。最近は、このように考えられる指導者が増えてきたようには感じますが、まだまだ意識の改革が必要だと思います。
●「自分はこうだ」と固執しないこと
知らず知らずのうちに、選手には負うべき役目が出てきます。そのときに「自分はこうだから」と固執してしまうと、かえって苦しむことになります。特に集団スポーツで難しいのは、監督が代わったときです。自分のスタイルも能力も変わらないのに、選手を使う側の思惑で、構想から外れてしまうことがあります。そんなとき「自分はこうだ」という強い思いは内面では持っていても良いのですが、いざパフォーマンスで結果を出すときには、言われた通りにやるのが、優れたプレーヤーだと思います。
実は私自身も同じように苦しんだ経験があります。武道家として生活していた頃、本当は組技を主にした組手が得意だった私が、器械体操の経験があり、跳んだり跳ねたりがうまいという理由で、派手な打撃技を中心とした組手を担当させられてしまったのです。けれど、結果的にそのおかげで、懐に入る技術がさらに卓越しましたし、入ったら絶対に逃さない立ち振る舞いができるようになりました。
求められたことを求められたようにすることは、訓練として乗り越えられれば、自分をワンランク上に上げることができるのです。「自分はこうだ」と思った時点で成長は止まってしまいますから、求められたら努力をし、そこからさらに最高レベルが生まれるのだと気持ちを切り替えることが大切です。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.07.29