半年間やってきたことの正反対をやったら結果が出た話!!巨人、高梨雄平投手の連載日記【ナシさんのアリな話 鉄腕奪取】第23回

復帰初のライブBPで愕然……
今までの取り組みをすべてゼロに

『ラブすぽ』読者のみなさん、お久しぶりです。読売ジャイアンツの高梨雄平です。
気づけばこのコラム、昨年の9月から半年以上も間隔が開いてしまいました。というのは、ご存じの方もいると思いますが、昨シーズン終盤からオフ、キャンプと、リハビリしかやることがなくて……。
プロ野球も2026年シーズンが開幕しましたが、僕自身の状態もようやく上がってきて、今シーズンに向けて明るい兆しというか、「先」が見えてきたので、コラムを再開させていただくことになりました。
改めまして、今シーズンも「ナシさんのアリな話」をよろしくお願いします。

これを書いているのは3月の下旬。僕は今、ファームでようやく実戦登板復帰を果たしたところです。
3月22日に久々にバッターを相手に投げたライブBPは、正直言って散々でした。リハビリ中も患部を動かすことはほとんどできず、それでも何とか投げられる状態までは持ってこれたんですけど、いざバッターと相対するとブルペンとは感覚が全然違う。「まだ状態はベストではないが、その中で出せる最高のパフォーマンスを出せれば」くらいのつもりだったんですけど、現実は甘くありませんでした。

ただ、「全然ダメ」だったことも、実は考え方を変えればプラスになることもあります。
1回目のライブBPが終わったあとに思ったのは「これはもう、(リハビリ期間の)半年間やってきたこととは正反対の取り組みをしなければいけない」。具体的な話は長くなるので書きませんが、とにかく20~30分間、頭をフル回転させて出した結論がそれでした。

半年間やってきたことをゼロにするのは覚悟がいりますが、想定していたパフォーマンスが出せていないのであれば違うアプローチを試すのはプロとして当たり前です。そこでまず、痛めた患部をもう一度MRIで診てもらうことにしました。時間も経っていたし、炎症も収まっていることがわかったので、そこからはこれまでほとんど動かしていなかった患部をガンガン動かすことにしたんです。そうしたら、思いのほか動いてくれてフォームもかなりベストに近いところまで持っていくことができた。

ここで「うれしい誤算」だったのは、リハビリ中も患部以外はしっかりと動かしていたことで、思ったよりも状態が加速度的に良くなっていったことです。痛めていた箇所が「最後のスイッチ」みたいになっていて、そこを入れることでフォームもバチっとハマる感覚があった。

3月下旬にそれに気づけたのも、タイミング的には良かったのかもしれません。遅すぎたらシーズン中に間に合わない可能性が出てくるし、早過ぎたらもう一度痛めていたかもしれない。その意味で「真逆のこと」をやっていた半年間も、決して「不正解」ではなかった。もちろん、これからの僕次第でそれが「正解」にも「不正解」にもなり得るわけなので、しっかりやらないとな、と気を引き締めています。

難易度が上がれば上がるほど
面白さも増してくる!

幸い、5日後に投げた二度目のライブBPでは感触もかなり良くなったので、今シーズンに向けてようやく前向きにスタートを切れたと思っています。今だから言えますが、一度目のライブBPが終わったときは、正直かなり食らっていたんです。「ここから全部組み立て直したら、時間が足りないんじゃないか、ゲームに復帰できるんだろうか……」と。

でも、いざ思い切って「組み立て直す」ことにトライしたら思いのほかスムーズに事が運んで、今は2026年の自分に期待感を持って過ごせています。もちろん、同時に「もう一度、同じ箇所を痛めたら終わりかもしれない」という不安もあります。「期待と不安」ですね。ただ、これは先輩方を見ていても思うんですけど、一度怪我した選手の宿命じゃないけど、きっとみんなそうなんですよ。そうやって、不安とも付き合いながら戦っていくしかない。

特に僕の場合、決して器用なほうではないので、少し痛いところがあったり、メカニックが崩れると極端に成績が悪化する傾向があるのも自分で分かっているんです。だからこそ、その都度、自分の「ベスト」を出し続けることでプロの世界を戦ってきた。ベストに持っていくこと、それを維持すること、さらに言えば自分のベストのレベル自体を上げること。全部やるのは単純にむずかしいことですし、一度怪我をしたことでこれからもっとむずかしくなる。

でも、「だから面白いんじゃん」って思う自分もいるんです。今年でプロ10年目になりますけど、難易度が上がれば上がるほど、面白さも増してくる。もちろん、めちゃくちゃしんどいですよ(笑)。自分で言うのもなんですけど、年齢の割にハードワークをしている方ですし、去年は怪我もしちゃいましたし。

ただ、しんどいだけなら多分やめようと思っちゃうんですけど、まだまだ「面白い」と思えているので。難易度は上がったけどクリアできる感覚もあるし。

怪我をしたことで、ある意味で「次はない」みたいな腹の括り方もできた気がしています。僕自身、まだまだ自分に期待しているので、ジャイアンツはもちろん、今シーズンの「高梨雄平」にも注目してもらえるとうれしいです。

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