獲物は追いかけずに背後から襲いかかる【眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話】

トラ
トラは、ネコ科の動物の中で最も体が大きいとされる動物です。頭蓋骨も大きく、上アゴと下アゴに2本ずつ長い牙があります。噛む力は約300㎏にも及び、体重700㎏のアジアスイギュウをくわえて引きずって運んだという記録もあるほどです。
トラは背の高い草むらや熱帯林の中で暮らしています。体表のシマ模様は茂みに紛れるのに適していて、獲物に気付かれにくいというメリットがあります。またジャンプ力もあり、筋肉のついたたくましい後ろ脚で地面を蹴り、10m近くもジャンプして獲物を捕らえ、鋭い爪と牙でしとめます。

トラはオスもメスも狩りをします。メスは、子どもとともに暮らし、オスは繁殖期を除いてほとんど単独で暮らしています。オスもメスも糞尿や爪跡で縄張りを広げて行動しますが、オスのほうが行動範囲は広く、1日に10~20㎞移動することもあります。メスは体が小さいこともあって、行動範囲はそれほど広くありません。
「虎視眈々」といった言葉もあるように、トラには強くて威厳のある動物としてのイメージがあります。しかし、狩りの成功率は意外と低く、5%~10%程度。体が大きくて速く走れず、持久力もないため、獲物を追いかけるのは苦手なのです。大きい獲物をとれないことが続くと、小鳥やカエルなどの小さな獲物でしのぐこともあります。人を襲って食べることもあり、インドには400人以上を食べたトラの記録も残っています。トラは亜種を含めるとアジアから東南アジアに分布していましたが、毛皮や剥製、漢方薬などにするための密猟などで絶滅の危機に瀕しています。今や弱者と言っていい動物なのかもしれません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。
【書籍情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊
図解シリーズで解説するハンター生物の話!ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。
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