なぜトランプ前大統領は貿易戦争を仕掛けたのか?【経済の話】

知っておきたいアメリカの経済状況
米国は70年代以降、恒常的に貿易赤字が続いています。08年のリーマン・ショックで一時期縮小しますが、その後も拡大が続きます。貿易赤字とは、輸出よりも輸入が多いことですが、米国の通貨が強く、経済が好調で消費が活発だからでもあります。
赤字といっても外国から借金しているわけでもないのです。ただし、トランプ前大統領は、貿易赤字が米国の経済成長を抑制させているとして嫌います。たしかに、米国のラストベルト( 錆びついた一帯)と呼ばれる工業地帯は、安い輸入品に押されて製造業がダメになっています。
トランプ前大統領は、こうした地域の労働者にも仕事を取り戻すと公約しました。それゆえに、米国に工場を取り戻すべく、米国の貿易赤字の半分を占める中国を標的に貿易赤字を減らせと脅し、高率関税を課して貿易戦争を仕掛けたのです。
貿易赤字を減らすには、輸入を減らすか輸出を増やすしかありません。しかし、輸入を減らすべく輸入品に高率関税を課すと、輸入品が値上がりして、やがて米国の消費者にも影響が及び、消費を減退させて景気を冷やしかねません。
また、中国も報復で米国の農産品に高率関税をかけたので米国の農業生産者が打撃を受けています。高率の関税をかけ合う泥仕合は、世界の貿易量を減らし、経済を停滞させます。
第2次大戦を招くキッカケとなったブロック経済の二の舞になるだけなのです。結局、なぜトランプ前大統領が貿易戦争を仕掛けたかの真相は謎のままですが、諸説あるのです。
前述の公約履行だけでなく、18年11月の中間選挙対策や、中国が米国の知財やハイテク技術を、これ以上盗んで成長させないよう、中国に大打撃を与えてる、といった理由になるわけです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔
日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。
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