イクチオステガ【古生物の話】

最初期に陸上へ進出した四足動物の代表格
古生代デボン紀も終わりに近づいたころ、進化を遂げた肉鰭類(にくきるい)はついに水辺を離れ、地上へと進出します。四足動物である両生類の登場です。誰が一番乗りだったのかはまだ諸説ありますが、イクチオステガは、その最初期にいた生物たちを代表する存在として知られる種類です。
現在のグリーンランドにある地層から発見されたイクチオステガは全長約1メートルから1.5メートル。ティクターリクよりは小柄だったようです。1932年に最初の化石が報告されて以来、100点以上の標本が採集されています。
最大の特徴は、頑丈な肋骨をもつ胴体に太い四肢をもち合わせており、口には鋭い歯が並んでいるところです。
肋骨(ろっこつ)は、左右に体をくねらせる魚類のような動きには不向きなつくりでした。一方、その頑強さは体を支えるのに役立ったのではという指摘があります。陸上生活で重力に負けることなく体を持ち上げ、内臓を保護する役割があったという説もあり、陸上で生活する四足動物としての条件をすでに備えていたといえるでしょう。
ただ、イクチオステガの長い尾には尾ビレがまだありました。そのため、完全に陸上のみで生活していたのかは不明で、陸上に上がることもあったものの、水中で過ごす時間のほうが多かったのではないかともいわれています。

なお、イクチオステガと同時期に同じ地域にアカントステガという四足動物が生息していました。このアカントステガこそが上陸一番乗りだという説もありますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。

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