野球国際化に向け種まきした経営者。元ドジャーズオーナー:ピーター・オマリー。【二宮清純 スポーツの嵐】

「キミのメジャーリーグ挑戦は、偉大な行為だ」
メジャーリーグ球団のオーナーの中で、野球の国際化に最も熱心だったのは、元ドジャーズオーナーのピーター・オマリーである。
今から30年前の1993年秋、「10年以内に真のワールドシリーズを行う」とブチ上げた時には驚いた。
その青写真について問うと、オマリーはこう答えた。
「私が提唱した『野球版ワールドカップ』が実現できない理由は、どこにもない。具体的には米国とカナダ、そしてアジアにある3つのプロリーグ(日本、韓国、台湾)が中心勢力となるでしょう」
野球の国・地域別対抗戦WBCが、メジャーリーグ機構と同選手会の主催により産声を上げたのは、13年後の2006年3月。時間はかかったが、オマリーには先見の明があったと言えるだろう。
オマリーの功績として、日本人が最もよく知っているのは94年オフに近鉄を任意引退した野茂英雄を獲得したことだ。
野茂は95年1月に渡米、マリナーズ、ジャイアンツ、ドジャースと西海岸のチームを北から順に見て回った。
ドジャースと契約する決め手となったのがオマリーの「本当にキミが欲しいんだ」の一言だった。
オマリーは、こう続けた。
「日本での地位を捨ててまでメジャーリーグでやってみたい、というキミの勇気を称えたい。僕はキミのような青年が好きなんだ。ベースボールは、いつか世界規模のスポーツになるよ。我がドジャースは、これからも世界の野球に目を向け続け、キミのようなアジアの青年に入り口のドアをノックしてもらいたい。その意味でもキミのメジャーリーグ挑戦は、偉大な行為だと思う」
ルーキーイヤーの95年、野茂は13勝6敗、防御率2.54、奪三振236の好成績で、新人王と奪三振王に輝いた。オマリーの目に狂いはなかったのである。
野茂が日本人メジャーリーガーのパイオニアなら、韓国人のパイオニアは94年にドジャースと契約した朴賛浩である。メジャーリーグで通算124勝をあげた。
06年の第1回WBCに韓国代表として出場した朴は、大会を制した日本に対し、「アジアのためにも日本の優勝はとてもうれしい」とコメントした。また同時期にメジャーリーグでプレーしていた日本人選手に対しては“戦友”の意識が強いようで、「彼らは国籍こそ違うが、トップになるため同じ道を歩んでいる選手たちだ」とも語っていた。
野球国際化の種まきをしたオマリーも、昨年12月で85歳になった。
※上部の写真はイメージです。
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