日本の技術が詰まった交通系ICカードのしくみ【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】

ICチップは小さなコンピュータ!?

SuicaやPASMOといった交通系ICカードを持っている人は多いでしょう。これがあれば電車に乗るときにいちいち切符を買う必要がなく、1枚持っておくと便利です。

CカードにはICチップというカードの情報を記録・演算する部分があります。構造としては情報処理の要となるCPUと、情報を保管するメモリがここに備わっています。これはコンピュータの構造と一緒。つまり、ICチップは超小型コンピュータのようなものです。

ICカードには、ICチップがカードの表面に組み込まれた接触型と、カードの内部に埋め込まれた非接触型、上記2つの合いの子であるデュアルインターフェースという3つのタイプがあります。交通系ICカードは非接触型で、改札を通るときに改札機のカードリーダーにカードをタッチすると、乗車した駅の情報がICチップに記録されるしくみになっています。ここで気になることが一つ。ICチップには電池が入っていないのに、なぜ改札機にタッチするとちゃんと反応するのでしょうか?

それは、電池の代わりにアンテナがカードに内蔵されており、それを通してカードリーダーから電気を受け取って反応できるようになっているため。ICカードは日本の技術力の高さを示した先進的なカードなのです。

交通系ICカードの超ハイテク内部構造

交通系ICカードは複数の層を貼り合わせた構造で、内部には、情報を暗号化して記憶しているICチップと、読み取り機からの電波を送受信するアンテナが内蔵されています。

アンテナ

読み取り機器からの電磁波をキャッチします。

IC チップ

情報を記憶することができるもの。基本的な構造はパソコンとほとんど同じです。

一瞬のタッチで改札を通れるICカードのしくみ

①電磁誘導やマイクロ波を利用してカードに電源を供給する

改札のカード読み取り部分のコイルに電気を流すことによって電磁波が発生し、それをICカードがキャッチすることによって、カード本体に電気が流れます。

②アンテナを介して情報のやり取りが行われる

アンテナが電磁波をキャッチしてICチップへと情報を送ります。同時に入場記録やチャージ残金などの情報を読み取り機に送っています。

③ICチップが情報を記録する

パソコンのような機能を持つチップ情報を記録。

電池がなくてもカードを使うことができるのは電磁波の力を利用しているためです。カードを一瞬近づけるだけで改札を通ることができるしくみには、非常に高度な技術力が詰まっているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話 』著:綿貫 渉

【書誌情報】
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