托卵相手に見破られた過去も! カッコウは子育てを他の鳥に丸投げする!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】


カッコウは他の鳥の巣に卵を産んで子育てを丸投げする
カッコウ流のずる賢い子育て術
多くの鳥は繁殖期になると卵を産み育てるための巣をつくりますが、中には自分で巣をつくらずに、他の鳥に自分の卵を育てさせる鳥もいます。これを「托卵」といい、カッコウやその仲間の鳥の一部に見られます。
托卵はオスとメスの共同作業です。まず、狙った鳥の巣の近くにある高い木にカッコウのオスが止まり、鳴きます。それを追い払おうと親鳥が巣から離れたすきに、カッコウのメスが巣から卵を1つ取り除き、そこへ自分の卵を1つ、産み落とすのです。
カッコウの卵は托卵に選ばれた鳥の卵よりも早く孵ることが多く、カッコウの雛が卵から孵ると、まだ目も開かないうちに自分の背中のくぼみに卵を乗せて、巣の外に押し出してすべて捨ててしまうのです。親鳥はそれに気づかず残ったカッコウの雛にエサを与え、自分の子どものように育てるのです。
カッコウが托卵に選ぶターゲットは、卵の色と模様が似ているホオジロやオオヨシキリ、モズなど。しかし、いくら卵が似ているといっても、長い年月が経つうちに見破ることができる仮親も出てきました。長野県ではホオジロに托卵するカッコウが以前は多かったのですが、卵が見破られて巣から取り除かれることが増え、托卵相手をオナガにシフトした例もあります。
カッコウの家族ぐるみの托卵戦略
① カッコウのオスが、ターゲットの巣のそばの高い木に止まって鳴く。

② カッコウのオスを追い払おうと親鳥が巣を離れたすきに、カッコウのメスが卵を1つ取り除き、自分の卵を1つ産み落とす。

③ ターゲットが産んだ鳥の卵より早く孵るカッコウの雛が、他の卵をすべて巣の外へと押し出して捨ててしまう。

④ 自分の子どもと勘違いさせ、巣立つまで子育てをさせる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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