他に類を見ない生態! ヤツガシラはエサ用に子供を1羽多く産む!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】


ヤツガシラは子どものエサ用として、子どもを1羽多く産む
兄弟食いを親が共謀する唯一の鳥
多くの鳥は、理想の数より1つ多く卵を産みます。3羽育てることが理想な種では卵を4つ産み、4羽が理想な場合は5つ産むといった具合です。これは、卵の孵化の失敗や雛の病気による死亡、他の天敵に捕食されてしまうなどといったリスクの保険として、このような習性が鳥に備わっていると考えられています。
しかし、そうではない種がいることが、研究によって明らかになりました。それは渡り鳥や旅鳥として少数が日本にも渡ってくる「ヤツガシラ」です。彼らは1羽多く産む卵を、なんと年長の雛のエサにしていたのです。つまり兄弟食いをしているということになりますが、ヤツガシラの雛は肉食する鳥のような鋭いくちばしや爪を持たないため肉を引き裂くことはできません。
では、どのように兄弟食いをするかというと、孵ったばかりの一番小さな雛を親鳥がつかみ、年長の雛の口に放り込んでしまうのです。猛禽類の雛などは兄弟同士の殺し合いや雛の病死などにより共食いすることがありますが、親の共謀により兄弟を共食いさせる鳥は、今のところ他に類を見ないと考えられています。
また、出産前にエサが豊富にある場合にも卵を1つ多く産み落とすことがわかっていて、親鳥の余った栄養を保存する食糧庫として計画的に産んでいるということです。
親鳥の栄養を卵に蓄える
ヤツガシラの母鳥は出産前、豊富に栄養を得られると、それを貯蔵するために卵を1つ多く産み、年長の雛に与えます。

一般的な鳥は保険として卵を1つ多く産む
多くの鳥は理想の数より1つ多く卵を産むが、これは雛が育たなかったときのための保険として備わった繁殖機能として知られている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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