今夜の空に輝くのは?知られざる“一番星”の真実とは【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】


宵の明星(金星)とはかぎらない
幼いころに口ずさんだ童謡の『一番星みつけた』。あるいは小学校の教材になっている、まど・みちおの詩『いちばんぼし』。これら童謡や詩にうたわれる「一番星」ですが、ひとつの決まった星を指すわけではなく、天文学において明確な定義があるわけでもありません。一般的には、「その日の夕刻、見上げた空に最初に輝きだす星」が一番星と呼ばれています。とはいえそれが日没から間もない時間帯であれ、あなたが見つけた一番星は、かなりの確率で金星でしょう。
明け方に東の空に輝く金星を「明けの明星」、日没後に西の空に輝く金星を「宵の明星」といいます。一番星は、最初に目にとまった夜空の星。宵の明星(金星)はまだ空に明るさが残っているうちに姿を現すため、多くの場合、一番星になりやすいのです。
もちろん金星以外が一番星となることもあります。金星が見えない時期には、同じ太陽系の惑星である木星や火星、それから冬に見えやすいシリウスなどの1等星が、その日の一番星になる可能性が高いことでしょう。季節や時間帯によって星の配置は変わりますし、見える星も違います。家路を急ぐその足を少しだけ止めて、そのときどきの一番星を探してみてはいかがでしょうか。
人によって違う一番星?

「一番星」は天文用語ではなく俗語で、季節や時間帯によっても変わってくる。夕空に最
初に見えはじめた星が、その日のその人にとっての一番星といえるだろう。
一番星の有力候補シリウスの見つけ方
冬に南の空でもっとも明るく輝いているのがおおいぬ座の1等星「シリウス」。全天で一番明るいので見つけやすいが、わからなければ「冬の大三角形」の一角や、「おおいぬ座の口のあたり」と見当をつけると探しやすい。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』監修:渡部 潤一
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』
監修:渡部 潤一
これを読んだら、夜空を見上げずにはいられない!
知れば知るほど面白い、不思議で壮大な“天体”の魅力と楽しみ方をわかりやすく解説!
天文学とは、人類最大の謎とも言える「宇宙ってどうなっているの?」を観測によって解明しようとする研究分野で、最も歴史のある学問の1つです。
本書では、そんな天文学の話の中から、今日から夜空を見上げたくなる天体の雑学、望遠鏡がなくても観測できる星の探し方など、天文学を身近に感じる話題を厳選して掲載します。
「月食って月の満ち欠けと何が違うの?」「金星は星なのに真夜中に見えないのはなぜ?」「冥王星はなぜ惑星から外されたの?」など、意外と答えられない天体の素朴なギモンも解消!
また、「ローマ教皇が阻止したかったガリレオ・ガリレイの“地動説”とは?」といった、天文学を取り巻く学問と宗教の関係や、現在研究されている「宇宙」にたどり着くまでの天才たちの数々の説のウソホントなども解説します。
天文学の魅力と歴史を楽しみながら学べる一冊です。
この記事のCategory
オススメ記事

都会の夜空でもくっきり見える1等星は21個しかない!?【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

流れ星を見つける確率を上げる方法【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

月にうさぎが見えるのは日本人だけ?脳がつくる“見え方”の謎【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

天文学が“最古でありながら最先端の学問”である理由とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

地球から肉眼で見える一番遠い星は?【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

よく話題になる日食や月食ってどんなもの?【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

「金星は夜に見えない!?」意外と知らない“明星”の雑学【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】
