ついばむ・掘る・切る…カラスの“マルチツール”クチバシの使い方とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】


クチバシもかなり器用に使えます

カラスといえば大きなクチバシが特徴。ハシボソガラスで長さ6センチ、ハシブトガラスだと8センチ近くあることもあります。体に対する大きさもかなりの割合になります。
このクチバシは猛禽のように鋭く尖っているわけではなく、何にでも使える道具です。ただ、嚙む力は強く、宇都宮大学(当時)の鎌田直樹さんらの研究では500N以上の力がかけられるとのことです(手のひらに500グラムのものを乗っけたくらいの力)。カラスは動物の死骸から肉を引きちぎることもあるので、つまんでもぎ取る力が強いのでしょう。
こんなに大きなクチバシをしているのに、カラスは器用です。ハシボソガラスはドングリの殻を叩いて割れ目を入れ、少しずつ殻をむいてはチマチマと食べています。
また、ハシボソガラスは石をひっくり返したり、落ち葉をどけたりするのも得意です。石をひっくり返す(ターニング)ときは、クチバシをテコに使い、グイと引き起こしておいてからクチバシの先端で上手に押しやり、無駄な力を使わずにひっくり返すことができます。
ハシブトガラスは果実の扱いが得意です。直径1センチあるかどうかのサクラの実をプチプチとクチバシの先でちぎっては食べてしまいます。1分間に10個以上も食べてしまうこともあるくらいです。
大きなクチバシは多目的に使える道具
【つつく】
硬いものはとりあえずつつきます。ハシブトガラスはクチバシが曲がっているので、上から振り下ろ
すようにつつきます。
【地面を掘る】
ハシボソガラスはセミの幼虫などを探して地面を掘ることがあります。ミヤマガラスはミミズの巣穴にクチバシを差し入れて捕らえます。
【切り裂く】
猛禽ほどクチバシが鋭いわけではありませんが、先端を引っかけてゴミ袋を切り裂くことはあります。でも大した威力ではありません。
【ついばむ】
カラスが得意なのはこれ。クチバシの先で嚙んでこじったり、引きちぎったりします。エサを足で押さえておくこともできます。
ハシボソガラスのターニング
①石の下にクチバシを差し入れる。
②石の一端を持ち上げる。
③クチバシの先端で石を90度に起こす。
④トンと軽く石を押しやり、裏返しにする。 石の下にいるエサをゲット!

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著:松原 始
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著:松原 始
「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!
黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。
不吉なシンボルとされる一方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。
「カラスはほんとは怖くない!?」
「読めばよむほど、好きになる!?」
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