【命の境界線】何をもって「死」とするか? 知っておきたい公的な死のプロセス【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

人はどの瞬間をもって「死」とされる?

公的な線引きは「死亡診断書」

 私たちは日常のなかで「死」という言葉を当然のように使っていますが、どの瞬間をもって人が死んだとされるのかを改めて考えることはあまりありません。心臓が止まったとき?意識が失われたとき?その線引きは、意外とあいまいです。

 法的な意味での死は、医師が死亡診断書を作成した瞬間に確定します。家族の最期に立ち会い、医師から「ご臨終です」と告げられるとき、その時刻が法的にも社会的にも正式な死亡時刻として記録されるのです。

 日本では、心臓と呼吸の停止、瞳孔の固定と拡大を確認し、心停止によって死を判定します。この基準は、遺族の手続きや社会的な共有のために設けられた、公的な線引きといえるでしょう。ただし、事故や事件の疑いがある場合には警察や監察医が関与し、死の確定はさらに慎重に行われます。

 こうした形で死の線引きはなされるものの、後ほど詳しく説明しますが、体の内部では心臓が止まったあとも細胞や組織の一部が活動を続けています。死はある一瞬に起こる出来事ではなく、体のなかで静かに広がっていく変化であるといえます

 どこからを死と呼ぶのか。その問いに向き合うことが、命を理解する出発点といえるでしょう。


医師が死亡を確認するまでの流れ

手順① 呼吸と心拍の確認

聴診器で胸部を確認。呼吸音・脈拍が完全に消失しているかを判断

手順② 瞳孔の反応を確認

光を当てても瞳が縮まらず、反応がないかを確認

手順③ 死亡時刻を記録

医師が時計またはモニターを確認し、停止を確認した時刻を記入

手順④ 死亡診断書を作成

医師の署名と押印で、法的な「死」として確定する

医師は呼吸、心拍、瞳孔の反応を順に確認して死亡を判断する。この時点が、法的にも社会的にも「命の終わり」とされる瞬間である。

役割によって変わる「死の線引き」

死の判断はひとつではない。医療は命を救おうとし、法は記録を残し、社会は喪失を受け入れる。それぞれの立場が交わるところに、人間の「死」の現実がある。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

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