【死亡時刻の特定】プロはどこを見る?「死後硬直」の進行具合から命の終わりを逆算する【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

死後数時間で体が固まる「死後硬直」のメカニズム

死亡推定時刻のヒントにも

 人は死を迎えたあと、まもなく体が硬くなりはじめます。力を入れているわけでもないのに、手足は動かなくなり、表情もこわばるのです。これは「死後硬直」と呼ばれる現象で、見た目の変化としてわかりやすく、死亡推定時刻を判断する手がかりにもなります。

 この死後硬直は、筋肉のエネルギーの枯渇によって起こります。生きている間、筋肉はATPというエネルギー物質を使って伸び縮みしていますが、死後にATPの供給が止まると、縮んだまま固定されてしまうのです。この状態が全身に広がるまで、およそ数時間。その前に、医療や看取りの現場では、亡くなった人の体を整える「エンゼルケア」が行われます。口や目を閉じ、手足を自然な位置に戻し、安らかな表情に戻します。これは、死後硬直がはじまる前だからこそできる、大切な時間でもあります。

 やがて時間が経つと、分解酵素の働きで硬直は少しずつゆるみはじめます。この「硬直→弛緩」の変化は、体温や環境によって進行速度が変化するので、死後の経過時間を知る重要な判断材料です。亡くなった状況を考慮したうえで死後硬直の具合を見れば、いつ命が途絶えたかを逆算することができます。

 死後硬直はまさに、命が途絶えたあとも体のなかで変化が続いていることを示す現象です。

死後硬直が進む順番と時間の目安

死後硬直はまずあごや首からはじまり、上半身、下半身へと広がる。1日を過ぎるころには少しずつゆるむ。この時間経過による変化が死亡推定時刻の判断材料となる。

約1〜2時間:あご・首など、初期硬直がはじまる
約3〜6時間:上半身を中心に硬直が拡大
約6〜12時間:下半身に及び、最大硬直となる
約24時間以降:硬直した順にゆるみはじめる

死後硬直を念頭に置いたエンゼルケア

エンゼルケアは、故人を自然で安らかな姿に戻す処置。たいていは死後硬直がはじまる前、看護師や葬儀社のスタッフによって行われる。

エンゼルケアとは?

亡くなった人を自然な姿に戻すケア。体を清め、口・目を閉じるなど、故人と家族の別れを安らかなものにする手助けとなる

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

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