血筋より実力!? 軍人が王となった「ラメセス朝」の誕生秘話【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

【新王国時代】血縁でなく名を継承したラメセス朝

軍人が王に即位

エジプトは第18王朝末期、ヒッタイト王国の脅威にさらされます。そして、周辺諸国に対する支配力が衰退するにつれ、治世の実態が様変わりしていきます。従来の血縁による王位の継承から、軍事政策に優れた軍人が王として認められることになったのです

ツタンカーメン後は老臣アイが王位につきますが、次は軍功のあったホルエムヘブ将軍が王となり、アメン神を中心とする伝統的な神々の信仰復興を推進します。その右腕となったのが、対西アジア軍事政策に貢献した軍人パ・ラメセスでした。子どものいないホルエムヘブの後継者になり、ラメセス1世として即位します。第19王朝第20王朝は、ラメセスを名乗る王が続いたので、「ラメセス朝」と呼ばれます

ラメセス1世の跡を継いだのは子のセティ1世で、国力回復のために活発な建築事業を行い、アクエンアテンの時代に閉鎖された神殿を徹底的に復興しました。また北シリアに遠征して領土を奪還しますが、これは一時的なものでした。その後、息子ラメセス2世が再度奪還を目指します。これが有名なヒッタイトとの「カデシュの戦い」です。ラメセス2世はその後、ヒッタイトと世界最古の和平条約を結び、ヒッタイトの王の娘と政略結婚をします。ラメセス3世は血縁はありませんでしたが、ラメセスの名を継ぎ、「海の民」との戦いに勝利するなど、大きな功績を残しました。

ラメセス朝の基礎を築いたセティ1世

セティ1世の治世は再生と復興の時代で、次のラメセス2世の時代の繁栄の基礎となった。

セティ1世のミイラ

技術の高さと保存状態のよさが、手厚く葬られたことを証明する

「セティ」の名はオシリスの敵セトに通じるので、とくにオシリス神に気をつかった!

子だくさんの英雄ラメセス2世

ラメセス2世は正妃以外に数十人の側室がいて、子どもは百数十人とも。67年にわたる治世での活躍は有名。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)


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