ピラミッドの形が四角錐なのはなぜ?【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

ピラミッドの形が四角錐なのはなぜ?
現代でも諸説あるが謎のまま
18世紀、エジプトに遠征したナポレオンは、ピラミッドの姿を見て、「4000年の歴史が見下ろしている」といったといいます。この遠征では戦いだけでなく、のちの解読につながる「ロゼッタ・ストーン」の発見があったり、テーベのカルナク神殿や「王家の谷」についての記録がなされたりしました。ピラミッドについても、さまざまな考察がなされたことでしょう。しかし、ギザのピラミッドがなぜ四角錐なのかは、現代でも解明されていません。
四角錐の理由としてよくいわれるのは、創世神話が世界の始まりの場とする「原初の丘」を模した形だというものです。「原初の丘」は、太陽神ラーの聖地ヘリオポリスの丘のことで、原初の水「ヌン」から最初に顔を出したものとされます。「ベンベンの丘」とも呼ばれ、これを模した四角錐の建造物を「ベンベン石」と呼び、ピラミッドの頂上にピラミディオンとして置きました。ベンベンは「何回も生まれる」という意味で、復活と永遠の命を象徴するオシリス神話とも結びつきます。
また、ピラミッドの斜面は、太陽の光線を模した形とも考えられています。死んだファラオが太陽神と一体となり、天へ昇ることを助ける役割があったという説もあります。数学的な計算で割り出した形だとする説もありますが、いずれにしても謎のままです。
ピラミッドの頂上に置かれていたピラミディオン

- ピラミッドのてっぺんに置かれるピラミディオン
- 太陽の光がさすときに太陽神ラーの美しさを見つめるために、東を向く面に目がある!
ピラミッドの表面はもともと白くなめらかだった
ピラミッドは表面全体が石灰岩の化粧板で覆われ、白く輝いていたが後年、カイロ市街地のモスクなどの建材として転用された。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
ピラミッドはなぜ造られたのか?
ミイラにはどんな技術が使われていたのか?
そして、古代エジプト人は何を考え、どんな毎日を送っていたのか――?
いまだ多くの謎に包まれ、世界中の人々を惹きつけてやまない古代エジプト文明。
本書では、最新の考古学研究に基づき、ピラミッド建築の真実、ミイラ作りの驚くべき技術、今なお世界中の研究者が追っている次なる謎など、古代エジプト文明にまつわるトピックをわかりやすく図解で解説します。
さらに、ピラミッドや神話だけにとどまらず、古代エジプト人の暮らしや信仰といった生活面にもフォーカス。
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最新CTスキャンで明らかになった新事実、多くの説が飛び交ってきたピラミッドの謎、そして文学や詩に込められた古代人の想いまで、読むほどに眠れなくなるほど面白い、古代エジプト入門にオススメの一冊です!
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