ワニをも仕留める800ボルトの衝撃!自分も感電しちゃうデンキウナギの生態【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


体のほとんどが発電器官
デンキウナギは、アマゾン河などに生息する全長2.5mほどの淡水魚。ウナギに似た姿ですが、実はウナギではなくコイの仲間です。その名の通り発電できる魚で、電気でしびれさせた魚などの獲物を捕らえて食べます。
発電能力の秘密は、体のつくりにあります。デンキウナギの体は、そのほとんどが発電器官である筋肉です。そのため内臓は頭の近くに集まっており、肛門がエラぶたの下あたりという変わった位置にあります。生物界でもとくに強い電気を発し、最高800Vもの電圧を生み出すことができます。これは家庭用コンセントの6~8倍にあたり、クリスマスシーズンには、各地の水族館でクリスマスツリーの電飾を点灯するのに活躍する姿がメディアに取り上げられることがあります。
発電はおよそ1000分の1秒という一瞬しか続きません。それでも襲ってきたワニを感電死させることもあるツワモノです。また、何度も発電すると筋肉が疲れて発電能力が弱まってしまうのだとか。
高い発電能力を誇るデンキウナギですが、一方であまりに強力な電圧に、自らもちょっと感電してしまっているのはご愛敬です。とはいえ自身が感電死することはありません。体内に豊富に蓄えた脂肪が絶縁体の役目をし、電気をやわらげてくれるからです。
発電する体のつくり
デンキウナギの体は、そのほとんどが発電器官。内臓は頭部付近に集中しており、肛門も頭の近くにある。筋肉細胞が変化してできた「発電板」という細胞で発電する。

発電魚の仲間たち
発電魚(電気魚)と呼ばれる魚は、世界に十数種類存在するとされる。デンキウナギなどの強電魚とブラックゴーストなどの弱電魚では、発電の用途が異なる。
デンキウナギなど 強電魚
発電は、獲物の捕食や敵への防御などの武器として使われる。

ブラックゴーストなど 弱電魚
弱い電気をレーダーのように使い、周囲の様子を感知する

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
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そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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