スマホの使い方も立派な「民俗」? 私たちの日常すべてが「歴史」になる民俗学の視点【眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話】

そもそも「民俗」って何だろう?

人間の生活に関わるあらゆるもの

島村恭則教授は、「民俗」について以下の定義をしています。

「『民俗』とは、『何らかの社会的コンテクスト(文脈。状況や背景のこと)』を共有する人びとの間で生み出され、生きられる経験・知識・表現で、とくに、啓蒙主義的合理性では必ずしも割り切ることのできない、あるいは覇権主義や普遍主義、主流的・中心的思考とは相容れない、意識・感情・感覚をそこに見出すことができるもの、もしくは見出すことができると予期されるもの』のことである」。

すでに解説してきたとおり、「民俗学」の対象は、ヘルダーの「歌」、グリム兄弟の「物語」、そしてそれ以降は、慣習、儀礼、信仰、俗信、物質文化へと広がっていきました。

ちなみに、ある社会学の入門書では「民俗」の例として、「祭りや古くからある土着的な芸能、世代から世代へと語り継がれてきた伝承、親族のあり方や決まりごとなど、民間の古い生活様式に関わる事柄」と説明しています。

しかし、冒頭で示した「民俗」の定義からすれば、「民俗」はこうした事象に限定されるものではありません。

つまり、実際には、人間の生活に関わるあらゆるものが「民俗」といえるのです。

「民俗学」の研究対象は無限にある

オフィスでの
慣習やうわさ話

言語化が難しい
職人の技と感覚

地域によって異なる
自動車の運転の仕方

家族や友人の間でしか通用しない言葉や慣習

SNSでやり取りされる
さまざまな語り

スマートフォンの
人それぞれの使い方

健康食品をめぐる
さまざまな噂

ストリートのグラフィティ
(壁画など)

宗教における
公式的な神学に対する
独自の解釈や実践

国会議員の野次パフォーマンス

主婦の買い物戦術

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』監修:島村恭則

【監修者紹介】
島村恭則(しまむら・たかのり)
民俗学者。関西学院大学社会学部長・教授。1967(昭和42)年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。文学博士(筑波大学)。国立歴史民俗博物館教官、韓国・翰林大学校客員教授、東京大学客員教授などを歴任。日本各地で民俗学調査を行うとともに、韓国・中国での調査・研究も行う。
近年は、世界民俗学史をふまえた民俗学理論の研究、とくに民俗学を国際的・学際的な「ヴァナキュラー文化研究」として再編成する議論を展開している。
著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』(平凡社)、『民俗学を生きる ヴァナキュラー研究への道』(晃洋書房)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門 民間伝承の秘密を読み解く』(創元社)、編著に『現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす』(創元社)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』
監修:島村恭則


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現代の社会を知る上でも重要な学問ともいわれる「民俗学」。
そもそも「民俗学」とは「民」(=人々)について「俗」(=ヴァナキュラー)の視点で研究する学問であり、日本においては、春夏秋冬の年中行事や風習から、身近な衣食住の伝統や習慣など、都市や地方のあらゆる「文化・もの」について、歴史や謂われ、理由などが存在する。
本書では、現代にも繋がる礼儀やしきたりや祭祀、文化や風習、民間伝承、芸能、文化遺産から、昔話、怪談、(都市)伝説、B級グルメ、ネットミーム、パワースポット、七不思議伝と言われるものまで幅広く取り上げ、「現代民俗学」としてあらゆるジャンルについてわかりやすく紹介、解説する。

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