書類ミスがそのまま地名に!? 「苫小牧」の“牧”に残る歴史【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】


苫小牧の「牧」は「枚」の書き間違いだった?
なぜ「牧」なのか、理由はわかっていない
苫小牧(とまこまい)の「まい」が、なぜ「牧」なのかについては諸説あります。明治時代のはじめに、馬を飼育する牧場を「苫細牧」としたことから「牧」を用いたという説、あるいは北海道内にある「島牧」という地域のことを、かつて「島小牧」と書いていたため、これに倣ったとする説もあります。そしてもっとも有名な説は、開拓使の役人だった小牧昌業が、書類作成時に「苫小枚」と書こうとしたところ、自分の名前の一字である「牧」という文字を誤って、あるいは意図的に書いたとするものです。
ただし、いずれも推測の域を出ず、明確な理由はわかっていません。
北海道には、「同じ表記(漢字)」のまま、昭和になってから町名の「読み方」が変わった珍しい町もあります。
南幌町はもともと、アイヌ語で湾曲して緩やかに流れるところという意味の「ポロモイ」から、「幌向村」と呼ばれていましたが、昭和37年(1962)の町制施行により「南幌町」と呼び名が改められました。その2年後に制定された同町の町章も、当時の読み方である「みなみほろ」のカタカナをモチーフとしたものです。
しかし、「みなみほろ」は読みにくいという声があったため、昭和43年(1968)に「なんぽろ」に改称しました。
「苫小牧市」と「南幌町」
小牧昌業とは?
天保14年(1843)生まれの漢学者、官僚、貴族院議員。元薩摩藩士で、明治維新後に官僚となる。香港で英語を学んだのち、明治4年(1871)に開拓使に出仕。大臣秘書官、首相秘書官、内閣書記官長、奈良県知事、愛媛県知事、帝室博物館長などを歴任後、貴族院議員に勅撰された。大正4年(1915)に宮内省御用掛となり、大正天皇に漢学を進講。没年80歳。

苫小牧市
人口約16万5000人(2025年時点)。国際拠点港湾の「苫小牧港」と、北海道の空の玄関「新千歳空港」を擁する交通の要衝。製紙工場や自動車関連、エネルギー関連など多様な産業が集積する産業拠点として知られています。
南幌町
人口約8000人(2025年時点)。農業の町として知られ、白いとうもろこし「ピュアホワイト」は全国的に有名。1960年代以降、人口が減少していましたが、1990年以降、札幌市のベッドタウンとして増加に転じ、2024年には日本人人口の増加率が2年連続で1位となりました。

【南幌町の町章】
改称前の呼び名「みなみほろ」の5文字をカタカナで円形にデザインし、さらに夕張川、千歳川、旧夕張川の3川に囲まれた地形を象徴している。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』監修:和田 哲
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』
監修:和田 哲
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