名前に反して超働き者!ナマケグマの意外すぎる生態【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

なまけていない! 実は働き者 ナマケグマ

● 主にインド〜スリランカに生息:乾燥林から草原まで、い土地に広く分布。
● ふさふさの黒毛:毛はあらめで長く、全体的にふさふさしている。
● 白い模様:V字形や三日月形の白い模様が特徴。個体差がある。
● 中型クラスの体格:体長140〜190cm、体重55〜145kgと、クマのなかでは中型。
● 長いツメ:前足のツメはのようにカーブした形。

ナマケグマと聞くと「なまけているクマ?」と思われるかもしれませんが、実はその逆。日が暮れたあとに目を覚ますと、森のなかを忙しく動き回ってはアリやシロアリを食べ、木の実を探します。クマ界きっての働き者といっても過言ではありません。

アリクイ似のクマ 食事は虫が中心

ナマケグマは、インドやスリランカを中心に生息し、高温多湿の森林から乾燥した草原地帯人里近くの農地周辺まで、実に多様な環境に適応しています。活動時間は主に夜で、日没とともにねぐらから出てエサを探すという生活スタイルです。

見た目はなかなかユニークで、毛がもじゃもじゃと伸び、鼻づらは長めで、ほかのクマとはまったく異なるシルエットをしています。かつてはクマではなく、アリクイの仲間だと考えられていたようです。

特に、ストローのように長い口が特徴的。突き出るように伸びた口を、シロアリの巣や倒木に差し込んで、中身を吸い取ります。その食性は昆虫が中心です。シロアリやアリのほか、果実ハチミツ、小動物も口にしますが、約7割は昆虫食であり、クマにしては珍しいタイプといえます。

名前や見た目からなまけてのんびりしている ようなイメージを彷彿とさせるものの、実際にはまったくなまけていません。その動きは素早く、日々活動的に過ごしています。視力はあまりよくありませんが、その分、嗅覚と聴覚はバツグン。においでエサを探し出し、わずかな音で気配を察知するという、効率重視の感覚派です。

また、イギリスの児童文学作品で実写映画化もされた『ジャングル・ブック』に登場する、 主人公の相棒・バルーのモデルにもなっています。このキャラクターをきっかけにナマケグマのことを知ったという人も多いのではないで しょうか。

感覚を頼りに器用に、たくましく暮らし、どこか親しみを感じさせるナマケグマ。今日もはるかインドやスリランカの森のどこかで、せっせと働いているのでしょう。

ツメも育児もガチ ナマケグマの親力がすごい!

ナマケグマは、特に子育てにおいて、ほかのクマではあまり見られない特徴を持っています。なんと、子グマを背中に乗せて移動するの です。それも1頭だけではなく、2、3頭をいっぺんに背負うこともあります。

このようなおんぶするスタイルは、クマとし てはとても珍しいものです。一方で、敵が来たそのまま子ともどもダッシュで逃げることができるため、非常に理にかなった移動方法だと いえます。

さらに、ナマケグマの長くカーブしたツメ は、敵を撃退するための立派な武器となりま す。実際に、トラやヒョウに出くわしたとき、 引っかき攻撃で追い払ったという記録も残され ています。いざというときは勇ましく立ち向かい、危険から自身や子を守るのです。

ぶうぶうと音を立て、ガニ股で歩く個性あふれる生態

ナマケグマを語るうえで欠かせないのが、個性的な食事方法です。

好物のシロアリやアリを食べるとき、その巣のなかに鼻先を突っ込んで、「ぶうぶう」「ごぼごぼ」と独特の大きな音を立てながら吸い込みます。静かな森にこだまするその音だけで、近くにナマケグマがいるのだとわかることもあるほどです。

そして、歩き方にも特徴があります。前足を 内側にひねるようにして歩き、ガニ股気味のゆったりとしたステップを踏むのです。しかも足の裏には毛がほとんどなく、地面にペタッと接地するため、足跡がくっきり残ります。

耳で聞いて、目で追える存在感。ナマケグマは、静かな森のなかでもしっかりと自分らしさを刻んでいます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司


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